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2011 年度 実施状況報告書

ストレス負荷により痛覚過敏が生じる脳メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23590717
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

井辺 弘樹  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60326353)

研究分担者 木村 晃久  和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20225022)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワードストレス / 疼痛学 / 下行性疼痛調節系
研究概要

1.慢性ストレス後の痛覚過敏の発現・維持に下行性疼痛調節系からのセロトニン入力が関与していることを明らかにするため、Rat Tph2 遺伝子断片(もしくはスクランブル配列)を含む short hairpin RNA (shRNA) プラスミドをエレクトロポレーション法を用いてラットの吻側延髄腹内側部(RVM)に遺伝子導入を試みた。米国訪問時に、実際の実験を見学した。刺激電極の形状を変化させ、電気刺激の加え方を改善して、現在、適切な刺激条件を探っている。2.慢性ストレス負荷後、脳を摘出し、グリア細胞関連 ( GFAP, CD11b ) タンパク質などの Western blot を用い、タンパク量を測定しコントロール群と比較した。慢性ストレス負荷後、中脳中心灰白質 (PAG) において GFAP の有意な減少が確認された。免疫組織染色において、GFAP の減少は VLPAG において著明であることが明らかとなった。これら結果は、41th Annual Meeting of the Society for Neuroscience および 第104回近畿生理学談話会において報告した。さらに、アストロサイトに特異的なグルタメートトランスポーターの有意な減少が PAG において生じることを見いだした。これらデーターをまとめ、現在、投稿中である。3.コントロール、強制水泳ストレス負荷ラットの足底に CFA を注射し、疼痛反応を測定した。強制水泳ストレス負荷により、疼痛反応の有意な増強が確認された。さらに、強制水泳ストレス負荷により、大脳皮質の一部で p-CERB の発現が有意に増加することが明らかとなり、現在、さらに検討を加えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

慢性ストレス負荷後、下行性疼痛調節系の重要な構成要素である中脳中心灰白質 (PAG) において、アストロサイトのマーカーである GFAP および グルタメートトランスポーターの有意な減少を確認することができた。関連する学会において発表を行い、データーをまとめ、現在、投稿中である。研究はおおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

1.shRNA プラスミドをラットの吻側延髄腹内側部(RVM)に遺伝子導入し、RNA 干渉により TPH の遺伝子発現を抑制する。下行性セロトニン入力を低下させたラットでストレス負荷により生じる痛覚過敏が変化するか否か検討する。2.慢性ストレス負荷後、RVM において、グリア細胞関連 ( GFAP, CD11b )、細胞骨格 ( neurofilaments ) タンパク質などの Western blot を用い、タンパク量を測定しコントロール群と比較する。有意差が確認されたタンパク質に対しては免疫組織染色を行い、画像上どの領域で変化が著明であるのか、組織学的検討を加える。3.PAG におけるアストロサイトの減少が疼痛反応に及ぼす影響を判定するため、アストロサイト選択毒素である L-AAA を PAG に脳内微量注入し、ストレス負荷後と同様のアストロサイトの減少をおこし、疼痛反応がどのように変化するか観察する。4.コントロール、強制水泳ストレス負荷ラットの足底に CFA を注射し、大脳皮質に加えて、RVM や 青斑核(LC)などでの p-ERK、p-CERB、c-fos の発現を免疫組織学的に調査する。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度購入予定であった麻酔装置が平成24年3月に本学動物実験施設に導入されることが判明したため、今年度はその購入を見合わせ記載の次年度使用額が発生した。今後、動物実験施設に導入された麻酔装置の利用状況を見極めて麻酔装置購入を検討したい。 遺伝子導入に使用するshRNA プラスミドは海外の業者に注文・輸入するため高価である。それらを大腸菌にトランスフェクションし増幅後、プラスミドを回収するためのキットが必要となる。プラスミドの脳内微量注入のために、プラスミドの種類・濃度に応じて多くの特殊なマイクロシリンジ・チューブの購入が必要である。 Western blot に関して、抗体、ゲル板、メンブレン、化学発光キットの購入が必要である。 MAPK、c-fos などマーカーを用いた組織学的な神経活動の評価に各種一次抗体、二次抗体、多くの免疫染色キットの購入が必要である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Chronic restraint stress decreases glial fibrillary acidic protein in the periaqueductal gray.2011

    • 著者名/発表者名
      Imbe H, Kimura A, Donishi T, Kaneoke Y
    • 学会等名
      41th Annual Meeting of the Society for Neuroscience
    • 発表場所
      Washington DC, USA
    • 年月日
      Nov. 12-16, 2011
  • [学会発表] 慢性拘束ストレス後の下行性疼痛調節系におけるGFAPの減少2011

    • 著者名/発表者名
      井辺弘樹、木村晃久、堂西倫弘、金桶吉起
    • 学会等名
      第104回近畿生理学談話会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2011年10月1日
  • [備考]

    • URL

      http://www.wakayama-med.ac.jp/med/physiology1/Dept_of_Physiology,_Wakayama_Medical_University/jiao_shi_shao_jie.html

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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