研究課題/領域番号 |
23590719
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研究機関 | 植草学園大学 |
研究代表者 |
桑名 俊一 植草学園大学, 保健医療学部, 教授 (70129998)
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研究分担者 |
角 友起 植草学園大学, 保健医療学部, 助教 (50551363)
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キーワード | 疼痛の神経機構 / 三叉神経 / 神経ペプチド / 三叉神経脊髄路核 / ガンマアミノ酪酸 |
研究概要 |
三叉神経を介する慢性的な疼痛や片頭痛は、脳幹の三叉神経脊髄路核内ニューロンの感作・脱感作が原因と考えられている。これらの疼痛の慢性化にサブスタンスP(SP)やカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)などの神経ペプチドの関与が示唆されている。本研究では、生後1週齢のGAD67-GFPノックインマウスを用い三叉神経脊髄路核内のSPあるいはCGRPを含むニューロンあるいはそれらに対する受容体の分布とGABAニューロンの分布を比較し、三叉神経痛覚情報処理過程におけるSPおよびCGRPとGABA性ニューロンの役割を解明する。 平成23年度の研究では、免疫組織化学的手法の確立とCGRPニューロンと三叉神経脊髄路核内のGABA性あるいは非GABA性ニューロンとの接続様式を明らかにすることを目的とした。GAD67-GFPノックインマウスの脳幹を単離し、固定し、厚さ20μmの脳幹の横断切片を作成し、CGRP受容体(CRLR)の標識を行ったところ、三叉神経脊髄路核にCRLRを持つニューロンが確認された。平成23年度の実験では、CRLR陽性ニューロンとGFP陽性ニューロンすなわちGABA性ニューロンとは重ならなかったが、平成24年度の追加実験においては、GABA性ニューロンにおいてもCRLRを発現していることが明らかとなった。また、非GABA性ニューロンにおいてもCGRP受容体を発現しているものと発現していないものが存在した。平成24年度の研究では、さらに三叉神経脊髄路核のSP(NK-1)受容体の免疫染色を行った。NK-1受容体は、主に非GABA性ニューロンにおいて発現していた。以上の結果から、三叉神経節のCGRPニューロンは三叉神経脊髄路核でGABA性と非GABA性ニューロンの両方に、三叉神経節のSPニューロンは三叉神経脊髄路核で非GABA性ニューロンだけに接続しているものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NK-1受容体の染色法を確立するのに時間がかかったが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
GAD67-GFPノックインマウスを用いて三叉神経脊髄路核内のGABA性ニューロンおよび非GABA性ニューロンにスライスパッチ法を適用し、それぞれのニューロンに対するSPあるいはCGRPの効果を検討する。蛍光顕微鏡下でGABAニューロンが肉眼的に区別可能であるので、直視下にホールセルパッチクランプ法による記録を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度が本研究の最終年度になるので、研究結果を纏めるためのデータ整理や学会等に積極的に参加し発表を行う予定である。このためデータ整理補助の人件費や学会発表の旅費に研究費を使用する。
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