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2011 年度 実施状況報告書

繰り返し寒冷ストレスによる痛み受容器の末梢性感作に関する網羅的遺伝子発現解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590724
研究機関金城学院大学

研究代表者

小崎 康子  金城学院大学, 薬学部, 准教授 (20126882)

研究分担者 北森 一哉  金城学院大学, 生活環境学部, 准教授 (80387597)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード痛覚過敏 / 繰り返し寒冷ストレス / 動脈脂肪沈着易発症ラット / 末梢性感作機序 / サブスタンスP
研究概要

副交感神経緊張型病態モデルとして知られる繰り返し寒冷(SART)ストレス負荷時の痛み閾値の低下―痛覚過敏の末梢性感作機序を分子生物学的側面から明らかにすることを目的とした。Wistarラットおよび動脈脂肪沈着易発症(Arteriolipidosis-prone, AL)ラットにおいて、機械的刺激による足上げ逃避反応を指標にして皮膚痛覚閾値を測定したところ、ALラットでは痛覚閾値が有意に高いことが判明した(p<0.01、Student's t-test)。 通常時の痛覚閾値が高いALラットは、閾値の低下が観察しやすく、痛覚過敏を研究する際に有用なモデル動物となる可能性がある。全3日半のSARTストレス負荷法を開発し、Wistarラットに負荷したところ、負荷後に痛覚閾値と血圧値の低下が確認できた。この方法により、ALラットにもSARTストレスを負荷したところ、痛覚閾値の有意な上昇と血圧の有意な低下が観察された。(各々p<0.05 by Student's t-test) SARTストレス負荷後に後足支配領域の脊髄後根神経節細胞を採取し、cDNA サブトラクション法によって発現が増加した遺伝子を検索した。発現増加が認められた34種の遺伝子のうち、痛み関連遺伝子として知られるタキキニン1遺伝子(サブスタンスP)に注目してPCR法により発現変化を調べたところSARTストレス群において有意に増加した(p<0.05 by Student's t-test)。SARTストレスによる痛覚過敏の末梢性機序にサブスタンスPが関与している可能性が示された。ALラットは、高脂肪食の負荷により動脈脂肪沈着を起こしやすくなる系のラットである。そこで、高脂肪食を摂取させたところ、摂取開始9日目以降に有意な痛覚閾値の低下が認められた。高脂肪食摂取により痛覚過敏が起こるという新知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ALラットはWistarラットに比べて、通常時の痛覚閾値が高く痛覚過敏が観察しやすいので、実験には主にALラットを用いることにした。そのため、順調に実験が進み、cDNA サブトラクション法によってSARTストレスによる痛覚過敏の末梢性機序にサブスタンスPが関与する可能性を示す事ができた。同時に採取した視床下部におけるコルチコトロピン放出ホルモンの発現がSARTストレスにより有意に増加していたので、既知の中枢性機序も確認することができた。さらに、次年度に実験を開始する予定であった高脂肪食摂取の実験を始めることができ、高脂肪食摂取により痛覚過敏が起こるという新しい知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

ALラットは、高脂肪食の負荷により動脈脂肪沈着を起こしやすくなる系のラットであるから何らかの脂質代謝異常が予想され、炎症メディエータの発現が増加する可能性がある。高脂肪食摂取時に、疼痛・炎症に関わるとされる各種脂質メディエータおよびその受容体の発現の変化を調べ、高脂肪食摂取により痛覚過敏が起こる原因を解明したい。また、高脂肪食摂取時にSARTストレスを負荷することにより、高脂肪食摂取がSARTストレス負荷時の痛覚過敏にどう影響するかを調べて、SARTストレスによる痛覚過敏の末梢性機序をさらに詳細に検討する予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は、現有機器のみで実験を行うことが可能であるため、大型機器の購入予定はない。高脂肪食の特殊飼料やPCR試薬・用品等の消耗品を中心に支出予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 動脈脂肪沈着易発症ラットにおける高脂肪食摂取時の機械的刺激に対する痛覚過敏: cDNAサブトラクション法による解析

    • 著者名/発表者名
      長谷川祐佳、梅津麗菜、林田麻美、松田理沙、北森一哉、奥山治美、小崎康子
    • 学会等名
      日本薬学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      平成24年3月29日
  • [学会発表] 動脈脂肪沈着易発症ラットにおける高脂肪食摂取時の機械的刺激に対する痛覚過敏:ラードとパーム油の異なる効果

    • 著者名/発表者名
      新井かおり、梅津麗菜、日下部彩、長谷川祐佳、尾内彩乃、北森一哉、奥山治美、小崎康子
    • 学会等名
      日本薬学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      平成24年3月29日
  • [学会発表] 動脈脂肪沈着易発症ラットにおける繰り返し寒冷ストレス負荷時の痛覚過敏:cDNAサブトラクション法による解析

    • 著者名/発表者名
      梅津麗菜、長谷川祐佳、新井かおり、水上裕佳子、北森一哉、小崎康子
    • 学会等名
      日本薬学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      平成24年3月29日

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公開日: 2013-07-10  

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