研究概要 |
1. ラット術後痛モデルを用いた生体吸収徐放性ゲルの術後早期の鎮痛効果の最適化 疼痛徐放に使用する鎮痛剤として代表的な局所麻酔薬であるリドカインとNSIDsのケトプロフェンを選択した。リドカインとケトプロフェンをそれぞれ電荷の対応するゼラチンゲルに浸透させたものをラット術後痛モデル(疼痛評価はvon Frey filament試験を利用)の足底筋裏に埋め込んだ。コントロールとして、切開縫合のみ群と、PBSを浸透させたゲルを埋込んだ群と比較したが、リドカインゲル群やケトプロフェンゲル群は切開縫合のみ群やPBSゲル群と比較して1週間に渡り、有意に疼痛閾値を上昇させ、鎮痛効果の持続を認めた。ラットの足底筋切開により、術後脊髄後角のミクログリアの活性化が起こることをpp38,OX-42に対する抗体を用いた免疫染色法において確認、次にケトプロフェンゲルを埋込み、von Frey filament試験において有意に鎮痛効果の見られる術後3日目にラットを屠殺し、脊髄を取り出し、pp38,OX42で免疫染色を行い、蛍光強度を定量化し、切開縫合のみ群にくらべて、ケトプロフェンゲル群は有意に蛍光強度が低下することを確認した。 2. 新規疼痛モデルである患側坐骨神経ブロックモデルの開発 新規モデルとして、足底筋は5-0ナイロン2針結節縫合のみで、患側の坐骨神経ブロックを行い疼痛評価を行った。ラット全身麻酔後、大腿骨上皮膚1cm切開、大腿二頭筋筋膜を切開し坐骨神経を同定する。坐骨神経周囲組織に麻酔薬を局注し、閉層。その後続けて同側の足底と足底筋を切開して5-0ナイロン2針結節縫合する。疼痛評価はvon Frey filament試験を行う。結果的には、リドカインゲル群やケトプロフェンゲル群は切開縫合のみ群やPBSゲル群と比較して患側坐骨神経ブロックモデルでは有効な鎮痛効果を認めなかった。
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