研究概要 |
本研究は一次知覚ニューロンにおけるTRPチャネル型受容体の機能制御に着目し、その分子メカニズムを解明する。H24年度に以下の研究を行い、artemin、resveratrol、etodolacによるTRPチャネルの機能抑制とその細胞内メカニズムを明らかにした。 1)GFRα3、Ret受容体とTRPA1(蛍光タグ付き)のcDNAのsubcloningを行い、成功した。 2)DRGの初代培養細胞を用いて、artemin, resveratrolによるTRPチャネル機能制御をCa imaging法で検討し、上記薬剤によるcapsaicin, AITCレスポンスの抑制が確認できた。 3)TRPA1を強制発現したHEK細胞を用いて、artemin,resveratrolやetodolacによるTRPチャネルの機能調節の細胞内メカニズムをPatch Clamp法で検討し、cysteine残基のcovalent modificationの関与が明らかにした。 4)In vivo行動学実験でresveratrolやetodolacの、Formalin,Capsaicin, AITCによる痛み行動に対する影響を侵害受容性行動(nocifensive behavior)法で評価し、これら薬剤の鎮痛効果が認められ、In vitroのデータとの統合性が確認でれた。 本年度の成果により、痛みセンサーであるTRPチャネルの刺激応答性が、artemin以外、resveratrol, etodolacなど自然薬品に含まれる成分や、臨床で使用しているNSADs薬品によっても抑制できることが確認され、その共通のメカニズムとして細胞内cysteine残基のcovalent modificationが関与している可能性が示唆された。次年度以降のTRPA1機能抑制の分子・細胞レベルの解析のために重要な実験データが取得できた。
|