研究課題
低容量の有害環境物質曝露で惹起される過敏反応症候群、「化学物質過敏症」の病態解明を目的として、有害環境物質曝露時の主な生態進入口となる呼吸器に注目し、気道の生体防御反応である気道分泌との関連から検討を行った。気道での曝露刺激感受部位と考えられる、侵害刺激感受性受容体TRPV-1(transient receptor potential vanilloid 1)を介した、気道分泌現象に注目して化学物質過敏症患者で想定される、気道の分泌防御反応の解明を可視的な気道粘膜下腺分泌の定量方法を用いて行った。平成23年度は、実験系の確立と本実験系での基礎データとなる、正常ブタ気道分泌下腺からの定常状態(無刺激状態)での基礎分泌量、0.047±0.026(nl/min/gland) (n=2 8glands) 細胞内cAMP濃度上昇により分泌亢進をもたらす,Forskolin 10μMの漿膜側投与 刺激による分泌量0.72±0.38(nl/min/gland) (n=2 10glands) 、又、細胞内Ca2+濃度を上昇させ分泌を亢進するCarbachol 1μM の漿膜側投与刺激による分泌量、急速な分泌亢進を来す、投与直後の5分間で4.9±1.3(nl/min/gland) (n=2 10glands) 、緩やかに持続する分泌亢進を来す5~10分間で2.0±0.7(nl/min/gland) (n=2 10glands) を測定した。平成24年度は、TRPV-1agonistである、capsaicin 100μM の粘膜側投与刺激により分泌が0.47±0.18(nl/min/gland) (n=2 8glands)と僅かながら亢進していることを確認した。平成25年度は、化学物質過敏症を模倣した状態での気道分泌反応を観察する目的で、ホルムアルデヒドに曝露したブタ気道を用い、定常状態(無刺激状態)の分泌やフォルスコリンやカルバコールに対する分泌亢進反応を正常気道のものと比較した。その結果、10分間の曝露では、分泌に変化を来さなかったが、30分間の曝露で、基礎分泌が亢進する傾向が認められた。
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