研究課題/領域番号 |
23590734
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐々木 真紀子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40289765)
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研究分担者 |
石井 範子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10222944)
長谷部 真木子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60241676)
工藤 由紀子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20323157)
杉山 令子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80312718)
菊地 由紀子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40331285)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 看護師 / 職業性曝露 / 抗がん剤 / 尿中抗がん剤 |
研究概要 |
本研究では、抗がん剤による化学療法を行っている患者を看護している看護師への抗がん剤曝露の状況を検証することを目的とする。抗がん剤は患者の尿など排泄物からも未変化体で排泄されたり、輸液ルートが完全に閉鎖されていない場合には環境中に漏れ出ることが知られている。抗がん剤による化学療法中の患者を看護する看護師においては、抗がん剤の混合調製を行っていなくても、曝露の危険性があることも報告されている。 そこで、本研究では抗がん剤の曝露状況を看護師の尿中の抗がん剤、またはその代謝産物の検出によって明らかにすることにした。東北地方の病院に調査の依頼を行い、同意の得られた2病院で勤務する看護師を対象とした。合計10名の看護師から研究参加の同意が得られた。対象の看護師らは原則として通常抗がん剤の混合調製には関わっていないものとした。 尿の採取は、当日抗がん剤治療を行っている患者を看護した看護師の勤務前から24時間後まで行い、排尿ごとに専用のスピッツに10ml採取してもらい、-20℃以下で保存した。分析は尿中のシクロホスファミドと5-フルオロウラシルの代謝産物であるα-フルオロβ-アラニンとした。尿は冷凍保存のまま、分析のためオランダのEXPOSURE CONTROL研究所へ空輸して、現在当該研究所において分析中である。 また尿の採取とともに、対象看護師の勤務中における抗がん剤曝露状況を把握するため質問紙で調査した。調査項目は年齢、性別、抗がん剤治療中の患者への看護内容とその際の防護方法、抗がん剤取り扱い時の防護対策の状況、最近の健康状態として、頭痛、めまい、脱毛、皮膚症状、胃腸症状や生殖器系の症状の有無等であり、現在集計中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の1年目は対象を抽出し、分析を開始するまでを計画していた。目標数とした対象数を得ることができ、尿の採取、質問紙調査も終了した。尿サンプルを分析機関へ空輸し、現在は分析中である。ほぼ計画通りに進行していることからおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はオランダのEXPOSURE CONTROL研究所から尿中のシクロホスファミドと5フルオロウラシル代謝産物のα-フルオロ-β-アラニンの含有量についての分析結果の報告を受ける。 またそれらの結果と質問紙で得られた調査結果とあわせて、抗がん剤治療を受けている患者を看護している看護師の抗がん剤の曝露状況について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究経費については分析費(5フルオロウラシル代謝産物としてα-フルオロ-β-アラニン、およびシクロホスファミド)、尿の分析用キット代、キット代の送料、情報収集のための国内旅費、消耗品費として主に計上する。分析費は10名から得られた尿サンプルがα-フルオロ-β-アラニンの分析用として77本、シクロホスファミドの分析用として77本であり、合計154本分となる。α-フルオロ-β-アラニンは1本について、149ユーロ、シクロホスファミドは1本につき78ユーロの予定であり、分析費の合計は17479ユーロ(1ユーロ110円の場合、日本円で192万円程度)となる。また分析用キットの代金は470ユーロ(1ユーロ110円の場合5万円程度)となる。 なお、次年度使用額が生じた理由は、尿の分析用キットや送料は分析が開始してから請求されることになり、次年度に繰り越して使用する必要があったためである。また、分析費はユーロ/円の変動で予定額より高額になる可能性があることから、残額は分析費として充当させることにした。
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