研究課題/領域番号 |
23590734
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐々木 真紀子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40289765)
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研究分担者 |
石井 範子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10222944)
長谷部 真木子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60241676)
工藤 由紀子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20323157)
杉山 令子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80312718)
菊地 由紀子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40331285)
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キーワード | 抗がん剤 / 看護師 / 職業性曝露 |
研究概要 |
目的:本研究では抗がん剤治療中の患者の看護を行っている日本の看護師を対象に、尿中の抗がん剤含有量を測定し、看護師の抗がん剤の職業性曝露の状況を検証することを目的とした。 方法:対象は原則的に抗がん剤の混合調製を行っていない看護師とした。看護師の尿中の抗がん剤の定量は、日本で悪性腫瘍の治療に多く用いられているシクロホスファミド、5-フルオロウラシルを行った。なお、5-フルオロウラシルは体内で代謝されることからその代謝産物であるa-フルオロ-b-アラニンの定量を行った。また質問紙による対象の属性および看護の実践状況、健康状態を質問した。尿は勤務開始から24時間後の尿を採取してもらった。検体の尿は分析まで低温冷凍冷蔵庫(-20℃以下)で冷凍保存し、冷凍保存のままオランダのEXPOSURE CONTROL研究所に空輸し、抗がん剤の含有量を測定した。なお測定方法はガスクロマトグラフ質量分析(GC-MSMS)で行った。 結果:2つの医療施設で合計10名の看護師から協力を得た。対象は全員女性であった。 シクロホスファミドは9人の看護師の24の尿サンプルから検出された。またシクロホスファミドの排泄総量は5.4~44.2ng/24hであった。一人あたりの看護師のシクロホスファミドの排泄総量の平均は16.8 ng/24hであった。これらの看護師は何らかの機会にシクロホスファミドに接触していたと考えられた。αフルオロβアラニンはいずれの尿サンプルからも検出されなかった。αフルオロβアラニンの検出限界は1ng/ml尿であり、検出限界までに至らなかったと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2年目は更に10名の対象者の調査を行うことにしていたが、測定する尿中抗がん剤を日本でよく使用されるシクロホスファミドと5-フルオロウラシルの2種類としたため、経費に2年目の分析代金を充当させた。対象者数が予定の半数となったことから尿の採取、分析期間も短縮したことから、尿中抗がん剤の結果と看護師の取り扱い状況を分析することが早く進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、オランダのEXPOSURE CONTROL研究所からの抗がん剤の含有量に分析結果と、看護師の抗がん剤の接触状況や健康状態について更に分析し、論文としてまとめて公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究経費は、分析費がユーロ/円の変動のため高額になることも考えられたことから、前倒して分析の費用を確保していた。次年度の研究経費は成果発表の旅費、及び論文投稿のための費用として使用する予定である。
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