研究概要 |
23年度は枯葉剤散布地区(Dong Nai省Bien Hoa地区)と対照地区(Ha Nam省Kim Bang地区)において現地調査を実施した。24年度はそのうち撒布地区(母子55組)について母親の母乳中ダイオキシン異性体、ステロイドホルモンの試料分析を行い、その第1子の発育状況との関連を含めた解析を実施することができた。 対象となった母親の平均年齢は25.4±2.7歳、第1子の性別は男児34人、女児21人であった。 ダイオキシンレベルと血清中ステロイドホルモンレベルとの関連では6つのダイオキシン異性体(1,2,3,7,8-PeCDD、1,2,3,4,7,8-HxCDD、1,2,3,4,6,7,8-HpCDD、2,3,7,8-TCDF、1,2,3,4,6,7,8HpCDF、1,2,3,4,7,8,9-HpCDF)と血清中DHEAでU字型相関が認められた(決定係数>0.1)。これによりダイオキシン異性体が直接体内のDHEAレベルに影響していることが考えられる。ダイオキシンレベルと児の身体測定値の関連では、男児よりも女児における頭囲、胸囲との負相関が顕著にみられ、特に女児の頭囲と1,2,3,7,8-PeCDDとの決定係数は0.41であった。ステロイドホルモンレベルと児の身体計測値の関連においても女児と唾液中アンドロスンジオンとの決定係数が0.51であった。 現在、対照地区のこれらの試料(母子55組)については測定が完了していない。25年度中に試料分析が出来次第、撒布地区と対照地区間の統計分析を行う。
|