研究課題/領域番号 |
23590739
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原田 浩二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80452340)
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キーワード | 環境化学 |
研究概要 |
1.曝露評価と生物学的モニタリング手法の確立:POPs候補物質の分析法を開発した。塩素系難燃剤としてポリ塩素化シクロペンタジエン誘導体について測定を試みた。検出に高感度な分析が可能な化学イオン化陰イオン質量分析法を用いて、1 ng/g程度の感度で検出できた。前処理工程では、硝酸銀、硫酸シリカゲルの多層カラムを用いて精製し、さらにフロリジルカラムにより分画を行った。対象物質の分解はなく、夾雑物を十分に除去できることを確認した。クロマトグラム上で特に妨害を引き起こすピークはなく、良好な分離ができた。水溶性が高いPOPs候補物質を同時に分離を行うために、シリカゲルなどのカラムで脂質分離を行いながら分画を行うための基礎的検討を行った。中極性溶媒による生体脂質の除去を行いながら、極性画分から水溶性POPs候補物質を回収する方法を開発し、今後試料での分析に応用する。 2.食事試料、血清、母乳試料の分析:1で開発された分析手法で試料の測定を開始した。京都大学生体試料バンクにおいて収集されてきた陰膳試料の測定を行い、日本における食餌中に塩素系難燃剤Dechlorane 602を認めた。また昨年度、特に中国で食事中で検出された短鎖塩素化パラフィンについて、母乳試料で分析を行った。中国で塩素化トリデカンが広く検出される一方、日本においては塩素化ウンデカンが一部認められるにとどまり、構成する同族体が異なることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って実施できた。分析法の開発、実際の試料の分析について特に課題が達成できなかったことはなく、順調に進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
1.食事試料、血清、母乳試料の分析 継続して試料の分析を行う。 2.汚染源の詳細調査 モニタリングの結果、汚染が見られているPOPs候補物質として塩素系難燃剤について、より詳細な調査を実施する。また短鎖塩素化パラフィンについて食事以外からの摂取についても考慮し、大気などの試料も採取、分析を検討する。また経年的変化を考慮して異なる年度に得られた試料の分析を実施する。 3.排出シナリオ策定 各国でのPOPs候補物質の生産履歴について資料収集を行う。関連する資料もあわせて各国内での地域分布も可能な限り得るようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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