研究課題/領域番号 |
23590742
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
片山 惠子 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 講師 (50304415)
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研究分担者 |
田中 純子 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (70155266)
松尾 順子 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (70570232)
秋田 智之 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 特任助教 (80609925)
中島 歩 広島大学, 大学病院, 特任助教 (40448262)
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キーワード | 血液透析患者 / 肝炎ウイルス感染 / HCVキャリア / HBVキャリア / 生命予後 / 抗ウイルス療法 |
研究概要 |
我々は、広島県内の9つの透析施設の協力を得て、これまでに全血液透析患者を対象とした肝炎ウイルス感染についての前向き調査を行い、血液透析患者におけるHBVキャリア率およびHCVキャリア率は、供血者集団と比較して高値であること、また、血液透析患者における新規HCV感染発生率は0.33/100人年と、供血者集団と比較して約100倍高値であることを明らかにしてきた。血液透析患者は生命予後が不良であるが、肝炎ウイルスに持続感染している血液透析患者について非感染者と比べて、予後が悪いのか、さらに積極的な肝炎治療を実施すべきか否かについての基礎的資料を得る目的で、これらの血液透析患者を対象とした2010年時点の予後調査を行い、血液透析患者における肝炎ウイルス感染と生命予後との関連性を明らかにすることを試みた。当該年度には、平成23年度に得られた転帰調査の結果を集計し、血液透析患者におけるHBVおよびHCVキャリアの生命予後を非キャリアと比較した。性別、年齢、原疾患などの交絡因子は調整した。 転帰日の明らかな3,064例について死亡をエンドポイントした生存分析により、感染の有無による生存率の差について解析をし、肝炎ウイルス感染以外の生存率に関連を認める因子を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
9つの協力医療機関に対して、1999年から2004年に調査を行った3,096例(2010年時点の平均年齢72.4±13.2歳)を対象とした臨床経過、転帰、死因、肝炎マーカーなどについての予後調査を行い、予後調査の結果を集計している。その結果、対象者3,096例のうち47.6%が死亡し、肝疾患関連による死亡は肝不全・肝硬変1.9%、肝細胞癌0.9%であった。これまでに、協力医療機関から得られた予後調査結果について、肝炎ウイルス感染と生命予後の関連性について解析を行い、血液透析患者の生命予後に関連する因子をいくつか明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降、引き続き予後調査結果を詳細に解析し、性別、年齢、原疾患等の各交絡因子の調整も行って、肝炎ウイルスに持続感染している血液透析患者と非感染の血液透析患との生命予後の比較を行う予定である。また、肝炎ウイルス持続感染の血液透析患者については、HBV, HCVのgenotypeについてもそれぞれ検討し、生命予後との関連が認められるかについて解析を行う予定である。さらに、肝炎ウイルス感染の血液透析患者については、肝硬変・肝細胞癌の発症について詳細に転帰調査を行い、血液透析患者におけるHBVおよびHCVキャリアの肝硬変・肝細胞癌の発生率を解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、引き続き血液透析患者における肝炎ウイルス感染と生命予後の解析及び血液透析患者におけるHBVおよびHCVキャリアの生命予後を非キャリアの生命予後と比較する計画である。また、HBVおよびHCVのGenotypeの測定を行い、本研究で得られた生命予後との関連を検討する。HBVのgenotypeはHBV genotype EIAキット(特殊免疫研究所)及びシークエンスによるgenotypeの決定、real time PCRによりウイルス量を決定するため、試薬の購入を必要とする。
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