研究概要 |
本年度は札幌臨床検査センターで北海道各地の医療機関における外来患者から2011年1~12月に分離同定されたMRSA 422株を研究対象として解析を行った。この中で最も優勢なSCCmec型はII (74.2%) で、次にIV (12.1%)、 I (5.5%)、V (5.0%) の順で検出された。SCCmec II MRSAでは、coa type IIaが最も多く(91.1%)、一方SCCmec IVではcoa type IIIが最も多かった(64.7%)。PVL-/ACME- MRSA 1株がSCCmec IVの新しいサブタイプSCCmec IVlを有していた。PVL遺伝子は8株 (1.9%)で検出された。ACME-arcAは20株 (4.7%)で検出され、そのうち5株はPVL遺伝子とSCCmec IVaを有し、PVL陰性株の多くはSCCmec IIを持っていた。検出された5株のPVL+/ACME+はUSA300と同じ遺伝学的特徴(ACME-typeI、ST8-spa type t008-coa type III-agr type I)を持ち、SaPI5 (SaPI: Staphylococcal pathogenicity island)上 に存在する遺伝子(sek 、seq)、ФSa3USAにある遺伝子(sak、chp)を有し、病原因子のプロフィールはこれら5株とも同一であった。薬剤耐性遺伝子の検出において、4株はUSA300-TCH1516が有するaph(3’)-IIIを、2株はUSA300-FPR3757が有するtet(K)を有していた。一方15株のPVL-/ACME+は、ACME-typeΔIIを持ち、CC (clonal complex) 5に含まれるST5 (3株)または ST764 (12株)に属し、spa type (t001, t002, t3557) -coa type IIa-agr type IIに分類された。
|