研究課題/領域番号 |
23590747
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
桜井 直美 (駒田 直美) 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (10274979)
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研究分担者 |
小池 和子 植草学園大学, 保健医療学部, 教授 (60110508)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロナノバブル / 感染予防 / 緑膿菌 / セラチア菌 / アシネトバクター・バウマニ |
研究概要 |
1、マイクロナノバブル水による抗菌効果の確認 検討を予定していた菌種は、緑膿菌、セラチア菌、大腸菌、アシネトバクター・バウマニ、サルモネラ属菌であった。再現性よく抗菌効果が観察されていた緑膿菌をコントロールとして用いたが、超純水製造装置入れ替え後に抗菌効果が観察されなくなった。マイクロナノバブルの性状は使用する水質によって左右されることがあるため、 様々な純度の水を用いて検討を加えた。その結果、Elix 3 UVで作製した水を用いて調整したマイクロナノバブル水では緑膿菌で抗菌効果が観察された。Direct-Q 3 UVや市販されている分子生物学用の超純水(ミリポア社製)では30分以内に抗菌効果は観察されなかった。この結果は、水のみならず、これらの水で作製した生理食塩水をマイクロナノバブル化した場合も同様だった。しかし、曝露20時間後には菌数の減少が観察されており、純度の高い水を用いた場合には、抗菌効果を得るのに長時間かかることが明らかとなった。そこで、緑膿菌で効果の見られたElix 3 UVを用いて、アシネトバクター・バウマニに対する抗菌効果を観察したが、菌数の減少が観察されず、30分以内に抗菌効果は観察されなかった。さらに反応時間を延長させ、24時間まで観察したが、菌数は減少しなかった。2、マイクロナノバブル水の保存安定性の検討 緑膿菌で効果の観察されたElix 3 UVを用いて調整したマイクロナノバブル水を、4、25、37℃で24時間保存し、抗菌効果を観察した。いずれの温度で保存した場合も抗菌効果は観察されず、保存安定性は確認出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロナノバブル水の効果は、使用する水質によって大きく差異が見られることが明らかとなった。従って、使用する水源による差異や、菌種による違い、それぞれの水質などを確認しながら研究を進める必要が出てきたため、当初の計画よりも若干遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロナノバブルの効果が最も高い水質を明らかにし、現在まで効果の見られていない菌種に対しての効果を確認する。明確な効果が見られた場合、作用機序を明らかにするために、菌体細胞のどの部分が障害をうけているのか蛍光染色法などを用いて推測後、電子顕微鏡観察を行う。 グラム陰性菌について明確な抗菌作用が観察された場合、入浴介護へ応用する。特別養護老人ホームや老人保健施設などの機械浴に使用し、入浴効果、浴槽や入浴介護用品の汚染除去・抗菌作用を観察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
未だ明確な抗菌効果が観察されていないため、安定して現場に応用するために、水質の違いによる効果の違い、含有する気泡の濃度とその効果の違い、マイクロナノバブルの作用機序について検討を加える。1、水質の違いによる抗菌効果の評価:緑膿菌以外の菌種について、水質の違いにより抗菌効果に差異が観察されるのかを検討する。2、含有する気泡の濃度による抗菌効果の評価:前年度に検討した菌種のうち、効果の見られた菌種を2~3 種選択し、含有する気泡の濃度による効果や作用時間について現場に適応する場合の条件検討を行う。コールターカウンターにより気泡の大きさおよび濃度の測定を行う。3、作用機序の推察のための蛍光染色、電子顕微鏡を用いた菌体の観察:マイクロナノバブル水による抗菌作用の機序を解明する一助として、マイクロナノバブル水に懸濁し、一定時間経過した菌体を蛍光染色し、菌体のどの部位に影響が見られるのかを観察する。さらに、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡(既存設備)により観察する。
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