研究課題/領域番号 |
23590748
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 恭子 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00381989)
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研究分担者 |
林 朝茂 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10381980)
圓藤 吟史 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20160393)
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キーワード | 疫学 / 骨格筋 / 代謝性疾患 |
研究概要 |
生活習慣病の危険因子としてインスリン抵抗性が挙げられ、インスリンの標的臓器の一つが骨格筋である。CT撮影による骨格筋の量(面積)と質(CT値)と生活習慣病との関係を包括的、疫学的な検討をすることを目的としている。 まず、日本人においても諸外国の研究と同様に、single-sliceの大腿部中央部のCT撮影による骨格筋面積がMRI撮影による大腿部の全骨格筋容量の代用になり得ることの妥当性を検討するValidation研究を開始した。平成23年度に引き続き、平成24年度はインフォームド・コンセントが得られた明らかな糖尿病がなくかつMRI禁忌に該当しない32~55歳の人間ドック受診者19名(男8名、女11名)を登録した。鳳総合健診センターで行われている人間ドック項目に加え、大腿部MRI撮影ならびに大腿部中央部のCT撮影、インスリンのホルモン検査などを行った。喫煙、飲酒、運動、食習慣を含めた詳細な問診も行った。大腿部MRI撮影条件は平成23年度検討した諸外国の研究とほぼ同様の条件で、撮影時間3分、画像枚数約50枚撮影するということで問題なく遂行できている。所持している画像計測ソフトにおいて、大腿部MRI撮影の骨格筋の全容量の計測する際の具体的な部位(上端と下端)を決定した。1人につき約40~50枚の画像から全容量を測定するため、コンピューター処理上2~3回に分割して測定せざるを得ないことが判明した。 次に、サブコホートの立ち上げを行った。平成17年から同センターの受診者を対象にしたCT撮影による腹部内臓脂肪を用いた前向きコホートである既存コホートに登録されている男女約1650名を対象に大腿部中央部のCT画像の面積とCT値の計測を順次行なった。データの管理に関しては、鳳総合健診センター、ならびに、大阪市立大学大学院医学研究科産業医学にて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本人において、single-sliceの大腿部中央部のCT撮影による骨格筋面積がMRI撮影による大腿部の全骨格筋容量の代用になり得ることの妥当性を検討するためのValidation研究に平成23年度に引き続き、平成24年度はインフォームド・コンセントが得られた明らかな糖尿病がなくかつMRI禁忌に該当しない32~55歳の人間ドック受診者19名(男8名、女11名)を登録することができた。 次に、サブコホートの立ち上げた。CT撮影による腹部内臓脂肪を用いた前向きコホートである既存コホートに登録されている男女 約1650名を対象に大腿部中央部のCT画像計測を順次行なった。
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今後の研究の推進方策 |
1.Validation研究(研究代表者である佐藤、研究分担者である林、圓藤):MRI撮影のsingle-sliceによる大腿部中央部の筋肉面積とその全筋肉容量が極めて高い相関を示すことが報告されている(Eur J Appl Physiol. 2010 110:91-97)。これに基づき日本人においてCT撮影によるsingle-sliceの大腿部筋肉面積が、MRI撮影による大腿部の全筋肉量の代用になり得るかを検討するための妥当性研究を行う(Validation研究)。 1)Validation研究の参加者登録:平成24年度に引き続き、平成25年度には15名の参加登録を行う。 2)大腿部CT画像計測・MRI画像計測(研究代表者である佐藤)およびデータの解析(研究代表者である佐藤、研究分担者である林):画像計測ソフトにおいて、大腿部MRI撮影の骨格筋の全容量の計測する際、1人につき約40~50枚の画像から全容量を測定するため、コンピューター処理上2~3回に分割して測定する。画像計測後に相関係数など適宜用いて検討する。さらに、大腿部中央部の骨格筋の面積とCT値の測定に関しては、級内相関係数を用いて再現性と反復性の検討を行う。 2.サブコホートの立ち上げ(研究代表者である佐藤、研究分担者である林) 1)対象・CT画像計測:平成24年度に引き続き、既存コホートに登録されている男女約1650名を対象に大腿部中央部のCT画像の面積とCT値の計測を行う。尚、今回行っているValidation研究の参加者も既存のコホート研究に組み込む。 2)データの解析:研究デザインは登録時のデータを利用した断面調査である。CT撮影による大腿部骨格筋量・質と生活習慣病との関係、CT撮影による大腿部骨格筋量・質の規定因子の検討、インスリン抵抗性の規定因子としてCT撮影による大腿部骨格筋量・質の関連の検討などを順次行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今回の研究では、インフォームド・コンセントや血液検体の分注のための人件費、看護師や健診担当の医師の人件費は健診実施場所である鳳総合健診センター側の本研究の重要性と趣旨に賛同があり、研究費としての必要経費は計上していない。交付決定額の差引額を合わせての使用計画を以下に示す。 大腿部CT撮影ならびに大腿部MRI撮影を含む人間ドック費用(@46,000円×15)インスリンなどの外注検査(@4,000円×15)が必要である。 旅費に関しては、1) 打ち合わせのための旅費として健診実施施設である鳳総合健診センターと大阪市立大学間の旅費(大阪市と堺市の間であり、多額ではない。)2) 学会発表に関する旅費(国外290,000円×1人×2回)が必要である。
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