インスリンの標的臓器の一つである骨格筋に着目し、CT撮影による骨格筋の量(面積)と質(CT値)と生活習慣病との関係を検討することを目的としている。昨年度に引き続き、平成25年度はインフォームド・コンセントが得られた明らかな糖尿病がなくかつMRI禁忌に該当しない30~54歳の人間ドック受診者14名(男性9名、女性5名)を登録した。よって平成23~25年度で30~60歳(平均年齢45.0±7.5歳)の57名(男性29名、女性28名)を登録した。日本においても諸外国の研究と同様に、single-sliceの大腿部中央部のCT撮影による骨格筋面積がMRI撮影による大腿部の骨格筋容量の代用になり得ることの妥当性を検討するValidation研究を行った。大腿部MRI撮影の骨格筋容量は2609.7±700.7 cm3であった。大腿部中央部のCT撮影による骨格筋面積は112.8±24.5 cm2であった。大腿部MRI撮影の骨格筋容量と大腿部中央部のCT撮影による骨格筋面積の相関係数は0.864(p<0.001)と有意であり、日本においても大腿部中央部CT撮影による骨格筋面積がMRI撮影による大腿部の骨格筋容量の代用になり得ると考えられた。 今年度は平成17年から鳳総合健診センターの受診者を対象にしたCT撮影による腹部内臓脂肪を用いた前向きコホートである既存コホートを活用し、まずsingle-sliceの大腿部中央部のCT画像の骨格筋面積とCT値の計測を行なった。対象は1646名(男性1034名、女性612名)、年齢は25~77歳(平均年齢50.4±10.0歳)、CT画像の面積は122.2±28.3 cm2、CT値は81.8±7.7 HUであった。インスリン抵抗性の規定因子としてCT撮影による大腿部骨格筋量・質の関連の検討などを行った。
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