研究課題
老化は全身性の軽度な慢性炎症病態(炎症性老化)で、炎症は老化を促進するという考え方が浸透しつつある。本研究では、炎症性老化のメカニズムを明らかにするため、炎症性マクロファージと抗炎症性マクロファージへの分化制御に関与する分子を検索した。さらに、身体活動量と炎症反応と慢性疾患がどのようにリンクしているかを、マクロファージに焦点をあて分子レベルで明らかにし、アンチエイジングのための効果的な運動処方の確立と運動による炎症制御機構の解明を目的とした。老化マウスおよび老化と同様に慢性炎症病態を示す肥満マウスを用いて、炎症反応を制御する分子の検索と慢性疾患の炎症状態に対する運動効果の解析を行い、以下の結果を得た。1)胃から分泌される摂食促進ホルモンとして発見されたghrelinとその受容体がマクロファージに発現している。2)マクロファージ細胞株を用いてghrelinの過剰発現株とノックダウン株を樹立・解析した結果、ghrelinには炎症性マクロファージに優位に発現している腫瘍壊死因子 α(Tnf α)などの発現を抑制する抗炎症作用が認められた。3)肥満マウス腹腔マクロファージではグレリン発現量の低下がみられ、運動トレーニングによりその発現量は回復するとともに炎症性分子Tnf αの発現量が低下した。4)老化マウスに運動トレーニングを行うと肥満マウスと同様にマクロファージのTnf α発現量が抑制された。最終年度には、加齢に伴い時計遺伝子、Rev-erbα、が減少し、Rev-erbαには炎症反応を抑制する作用があることを明らかした。すなわち、Rev-erbαの炎症性老化への関与が推測された。今後、生体内時計機構とマクロファージによる慢性炎症制御機構のクロストークを明らかにすることによって、新たな老化予防法の確立に寄与することが期待される。
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