研究課題/領域番号 |
23590754
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
山野 優子 昭和大学, 医学部, 准教授 (30167580)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 環境疫学 / 環境発がん物質 / 生物学的モニタリング / 多環芳香族炭化水素類 |
研究概要 |
環境化学物質による発がんは、予防医学の重要なターゲットの一つであり、有効なバイオマーカーの開発が急務である。そこで、特に多種類の発がん物質に曝露されている職域を対象とし、曝露の程度と複数の曝露関連因子と思われる要因との関係を網羅的に解析しマーカーを抽出することで、発がんとの関連性の基礎データを示すことを目的とした。 今回対象としたのは製鉄所作業者であり、この作業者は多くの発がん性を示す多環芳香族炭化水素類に長期間高濃度に曝露されている。 我々は、すでにこの作業者からサンプリングした尿試料について、複数の多環芳香族炭化水素類代謝物の分析を実施してきた。そしていくつかの個人曝露と多環芳香族炭化水素類代謝物との関連を報告してきた。しかし、分析した中で未知の多環芳香族炭化水素類代謝物が5ピーク検出され、それらが高濃度である可能性もあった。そこで平成23年度は、まずそれらの未知物質を特定することを目的としていた。 その結果、高速液体クロマトグラフィー分析で保持時間17-18分に検出されたピークが多環芳香族炭化水素類のモノフェノール体である1-ヒドロキシフェナンスレンであることが明らかとなった。また、この検出限界は0.05ng/mlで感度良く検出され、再現性もよかった。作業者および対照者も含め1046検体を分析した結果、1-ヒドロキシフェナンスレン濃度は、代表的な多環芳香族炭化水素類の代謝物である1-ヒドロキシピレンの約1/2程度の濃度であった。今後平成24年度には他の未知物質についても明らかにし、それらの結果を踏まえ、多環芳香族炭化水素類曝露と尿中代謝物の関係を整理し、質問票から得られたデータも合わせ網羅的に解析し、どの代謝物が発がんのリスク評価のよい曝露マーカーとなるかを明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、作業者の多環芳香族炭化水素類尿中代謝物のうち未知であった5つの代謝物について推定し、定量法等の検討を行い未知物質を特定していく予定であった。まず、分析がすでに終了しているクロマトより未知の代謝物がモノフェノール体である可能性があることから、それらに値する標準品を選定する必要があった。平成23年度はまず3物質を選定し、その購入(海外からの輸入)に多くの時間を要した。その結果として、未知の代謝物のひとつが1-ヒドロキシフェナンスレンであることが明らかとなり、分析した結果、多環芳香族炭化水素類曝露作業者の尿中1-ヒドロキシフェナンスレン濃度は、代表的な多環芳香族炭化水素類の代謝物である1-ヒドロキシピレンの約1/2程度の濃度であることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、すでに購入した標準品(2-ヒドロキシフェナンスレン、4-ヒドロキシフェナンスレン)について平成23年度同様に定量法を確立し、分析していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定どおり、尿サンプルの前処理や高速液体クロマトグラフィー分析に必要なカラムやメンブレンフィルター、チューブ、バイアル、移動層(りん酸二水素ナトリウム・2水和物、りん酸水素二ナトリウム・12水和物)の購入に使用する。
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