研究概要 |
*横断的研究に関しては駿河台日本大学コホート研究の登録者をもとに血中n-3系不飽和脂肪酸濃度(EPA, DHA)とLDLコレステロール(LDL-C)の機能の指標であるLDL粒子径、及びCAD罹患率との関係の検討しEPA,DHAと冠動脈疾患罹患率とLDL粒子径(LDL粒子径は血清EPA濃度が高くなるとLDL粒子径も増加するが、DHAにはそのような関係は認められなかった)のみならず他の動脈硬化関連マーカーとの関係を検討し、日本循環医学会学術総会で2演題、日本冠疾患学会で1演題の学会発表を行った。具体的には1)血清EPA,DHA濃度が高いほど、冠動脈疾患罹患率が低く、更にEPA,DHAの共通した動脈硬化関連マーカーとの関係は抗動脈硬化作用のあるアポリポタンパクA1の増加と関連があることが示唆された事である。2)血清EPA/AA比は前向き研究で冠動脈事故の予測マーカーであることが大規模臨床試験で示されているが、我々はEPA/AA比が高いほど冠動脈疾患罹患率が低く、更にはEPA/AA比が高いほど中性脂肪代謝、HDL代謝が改善し、更には全身の炎症反応が鎮静化することに関与する可能性を示した。3)血管内皮機能障害の指標である血清トロンボモジュリンに関して血清EPAとは相関関係はなかったが、血清DHA値とは負の相関関係があることを示した。 *前向き介入試験としてEPA製剤投与によるLDL-C粒子サイズ、冠動脈疾患関連マーカーの変化に関して学会発表(日本循環医学会学術総会)を行った。特にEPAの冠動脈疾患予防のメカニズムに中性脂肪代謝が大きく関連し、中性脂肪代謝を改善することによってLDL粒子径の増加効果を得ていることを検討したことは残存リスク対策として意義が深いと思われる。現在 Circulation journalに投稿中である。
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