研究課題/領域番号 |
23590764
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研究機関 | 公益財団法人労働科学研究所 |
研究代表者 |
薬師寺 史厚 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 協力研究員 (20385909)
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研究分担者 |
吉川 徹 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (50332218)
石堂 均 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, その他部局等, 研究員 (20560147)
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キーワード | インスリン自己注射 / 安全性 |
研究概要 |
ペン型インスリン注入器による非自己注射(看護師や家族が行うインスリン注射)のユーザビリティの改善と安全性の向上が本研究の主たる目的であるが、今年度においては、①インスリンのデバイスに関する検討の継続、②と③で針の安全性の向上と機能評価に関する研究をすすめた。 ①インスリン注入器のユーザビリティの改善目的として注入器の補助具および新注入器の評価:平成24年度においては昨年作成した補助具による模擬注射による評価をさらに進めた。結果を日本老年医学会で報告した。そこに自己注射の器具で新規注入器が上梓された。そこで我々が解決を目的としている非自己注射のための開発した補助具を装着した旧デバイス(フレックスペン)と上梓された新注入器(フレックスタッチ)の間に差がない可能性があるため、その評価を今後の課題とした。 ②非自己注での安全性からの評価として、オートシールド針での介護者での針刺し損傷防止に対する検討:針廃棄過程でのオートシールド針の評価について第109回日本内科学会総会講演会で報告した。さらにDiabetes Sci Technol誌にその内容は掲載された。また、薬液の注入抵抗の評価結果について医療機器学会で発表した。同時にエピネットでは針刺し損傷の統計的分析を継続している。 ③オートシールド針で改善できないケースでの介護者の針刺し損傷に対する防御用品の試作:介護者の針刺し危険の改善策のもう一つの方法としての従来針の取り外しにかかわる安全用品の開発をした。25年3月には「注射器の針部材取り外し器具」として実用新案登録を出願した。さらに次年度で評価を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペン形注射器のユーザビリティ向上を目的として試作した補助具について模擬注射により評価を行い、非自己注射においても使い易さの改善が認められ、結果を老年医学会(第2報)に発表した。また従来品より太く改良された製品(フレックスタッチ)が発売されたためこれの使用感の調査も行い今後発表を予定している。 安全性の向上については針廃棄過程の事故防止として安全機材(オートシールド針)の検証と従来型の針においても安全に廃棄するための機構を設けた容器の考案を前年度より継続し、針の使用感等について日本内科学会、注入抵抗の評価結果について日本医療機器学会での発表、廃棄容器については実用新案の申請へ繋げた。 注射手技の定量的評価として実地で使用できる関節の角度測定器材を選定・整備した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の検証によりペン形注射器の形状による非自己注射時の使用感の低下が最新機種では改善されているとの結果が得られたため安全性の向上(針刺し事故防止)を優先して考案した針廃棄用具について試作品を製作し、実地試験を行う予定。 ユーザビリティの向上としては実地による注射手技中の指関節の動きを測定し、最適な手技および器材の提言に繋げることを目指す。加えて、近年より細くなった針の注射手技への影響も画像測定等の手法を用い検証する予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
針廃棄中の安全についても検討することとしたためにそのための費用が必要となり、旅費等を調整し物品費に使用、また一部未執行とした。 次年度分の物品費予算の増加分として材料費外約30万円を見込んでいる。 未執行の海外旅費約50万については次年度での執行の予定であるが、今後の研究の進度、発表の機会など状況に合せて科学的検討が優先されれば、用具等の試作に使用する。
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