研究課題
肺炎は我が国における主要死因を構成しており、心血管疾患、悪性新生物についで第三位を占めている。他方、糖尿病はその患者数の急速な増加とともに、悪性新生物、心血管疾患の重要な危険因子として注目されている。糖尿病合併症の三大病態、すなわち、血管障害(大小)・神経障害・感染症が挙げられるが、耐糖能と易感染性との関連は未解明である。血管障害や神経障害についての疫学調査は数々の報告がみられるが、感染症についての疫学調査は皆無である。糖尿病が感染症の危険因子であるとの論はされて久しい。しかし、耐糖能異常(IGT)と感染性呼吸器疾患との関連も明確ではない。1990年から続けている山形県舟形町での糖尿病検診の5つのコホート(舟形町での全住民を対象とした検診で得られたコホート)(第1コホート(1990-1992年受検者)、第2コホート(1995-1997年受検者)、第3コホート(2000年-2002年)、第4コホート(2005年-2007年)および第5コホート(2010年-2012年)を対象に感染性呼吸器疾患発症状況を調査した。総勢約3500名の対象者について舟形町役場の協力のもと、対象者に発症状況有無についてアンケート調査を行った(回収2900、回収率82.9%)。そのうち不明部分については可能な限り発症時に受療した医療機関にそのときの病状、症状を文書にて問い会わせ中であるが、情報が不十分なため対象医療機関に直接出向き診断の不明点を解決することも検討している。他方、心血管疾患にみられる動脈硬化性疾患や、免疫系疾患と関係が深いとされる血清アディポネクチンについて、同意の得られた第4コホート受診者血清を用いて、血清総アディポネクチン値を測定した。これらの測定結果と感染性呼吸器疾患の発症状況との関連を検索し、これらをすべて併せてすでに得られている耐糖能の情報とあわせて解析を行った。
すべて 2013
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