• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

耳朶皺襞の評価者間一致率および心血管病との関連についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 23590781
研究機関新潟大学

研究代表者

若杉 三奈子  新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (10584782)

キーワード心血管病 / 耳朶皺襞 / 透析患者 / 評価者間一致率 / スクリーニング
研究概要

耳朶皺襞とは耳朶に斜めに走る襞のことであり、その存在は動脈硬化性疾患、すなわち、心血管病の危険因子であることが、欧米人のみならず、日本男性の剖検例でも報告されている。しかし、耳朶皺襞は、心血管病の独立した危険因子であるという報告も多数ある一方で、関連を認めない、あるいは、単に加齢による影響を見ているにすぎないという報告もあり、まだ一定の見解が得られていない。その理由として、耳朶皺襞の評価者間一致率(Kappa統計量)がこれまで一度も検討されていないことが考えられる。すなわち、もしも耳朶皺襞を異なった評価で判断していれば、一定の見解が得られない可能性がある。そこで本研究では、心血管病のハイリスク集団である透析患者を対象として、耳朶皺襞の評価者間一致率を検討し、さらに心血管病との関係を明らかにする。これにより、ベッドサイドで簡便に行えるスクリーニング検査として、耳朶皺襞の有無が使えるかどうかが明らかになり、その知見は実際の臨床現場で役に立つこととなる。
研究初年度に、研究計画書の作成、倫理委員会への申請を行い、208名の血液透析患者の同意を得て、両耳朶の写真撮影を行った。耳朶皺襞の評価者間一致率(Kappa統計量)および、維持透析患者における耳朶皺襞陽性割合を明らかにした。
2年目は、上記で得られた陽性割合が、当初、サンプルサイズ計算を行った際に仮定した数字と離れていたため、十分な検出力を有する前向き研究とするために、サンプルサイズの再計算を行い、症例登録の追加および両耳朶の写真撮影を行った。
3年目である今年度は、横断データを用いて、耳朶皺襞と心血管病既往との関連を明らかにする解析を行った。本解析結果は4月の国際学会で発表予定である。心血管病発症との関連を明らかにするため、引き続き前向き研究を継続している。各施設を訪問し、イベント発症の有無、脱落等の調査を継続した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3年目である今年度は、過去2年間に得られた横断データを用いて、耳朶皺襞と心血管病既往との関連を明らかにする解析を行った。4月に開催される国際学会で、その内容を発表予定である。
心血管病発症との関連を明らかにするため、各施設を訪問し、イベント発症の有無、脱落等の調査を開始し、前向き研究を継続している。

今後の研究の推進方策

(平成26年度)平成25年度までに得られた結果について、学会発表ならびに論文投稿を行う。平成25年度に引き続き、心血管病の発症を前向きに観察する(前向きコホート研究)。各施設を訪問し、イベント発症の有無、脱落等を診療録より確認する。データはすべて匿名化したのち、新潟大学に集め、データクリーニング、および、解析をおこなう。
(平成27年度)平成26年度までに得られたデータをもとに解析を行い、耳朶皺襞と心血管イベント発症の関連について、学会発表と英語論文作成を行う。
本研究により、ベッドサイドで簡便に行える心血管病のスクリーニング検査として、耳朶皺襞の有無が使えるかどうかが明らかになり、その知見は実際の臨床現場で役に立つこととなる。また、耳朶皺襞の有無は特別な検査を必要とせず、誰でも目で見て判断することができるため、本研究の成果は国民にも理解しやすいものであると考える。そのため、新聞などのメディアを通じて、広く国民へも研究成果を伝える予定である。

次年度の研究費の使用計画

国際学会で発表を行うための旅費と宿泊費が必要であったが、発表を行う予定の国際学会の開催地が国内であり、また、平成26年度4月の開催となったため、次年度使用額が生じた。
引き続き、各透析施設を訪問し、イベント発症の有無、脱落等を診療録より確認するため、交通費が必要である。月水金と、火木土の透析コースがあり、また午前透析、午後透析、夜間透析と、透析終了時間がそれぞれ異なり、また一度の訪問ですべての臨床情報を集めることは時間的に困難と考え、各施設にそれぞれ8回ずつ訪問する予定である。診療録から臨床情報を記載する調査票は、新潟大学で一括して印刷し、各施設で使用する。得られたデータは新潟大学で入力し、電子的に保管する。これらのための費用が必要である。
また、これまでに得られた結果について、学会発表を行い、論文投稿を行う。そのための旅費、英文校閲料、論文投稿料、論文別刷代が必要である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 血液透析患者における耳朶皺襞の評価者間一致率

    • 著者名/発表者名
      若杉 三奈子、永井 雅昭、横田 さおり、大森 健太郎、藤川 浩一、青池 郁夫、大森 伯、川村 和子、風間 順一郎、成田 一衛
    • 学会等名
      第55回新潟透析懇話会学術集会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ
  • [学会発表] 血液透析患者における耳朶皺襞の陽性割合

    • 著者名/発表者名
      若杉 三奈子、永井 雅昭、横田 さおり、大森 健太郎、藤川 浩一、青池 郁夫、大森 伯、川村 和子、山本 卓、松尾 浩司、高橋 良光、風間 順一郎、成田 一衛
    • 学会等名
      第58回日本透析医学会学術集会・総会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
  • [学会発表] Prevalence and clinical characteristics of diagonal ear lobe crease in hemodialysis patients

    • 著者名/発表者名
      Minako Wakasugi, Masaaki Nagai, Saori Yokota, Kentaro Omori, Hirokazu Fujikawa, Ikuo Aoike, Tsukasa Omori, Junichiro James Kazama, Ichiei Narita
    • 学会等名
      The 7th International Congress of International Society for Hemodialysis
    • 発表場所
      Okinawa Convention Center
  • [学会発表] 血液透析患者の耳朶皺襞と心血管病既往との関連:横断観察研究

    • 著者名/発表者名
      若杉三奈子、永井雅昭、横田さおり、大森健太郎、藤川浩一、青池郁夫、大森伯、風間順一郎、成田一衛
    • 学会等名
      第59回日本透析医学会学術集会・総会
    • 発表場所
      神戸国際会議場

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi