研究課題
耳朶皺襞(耳たぶに斜めに走るしわ)がある人は、ない人に比べて、心血管病を合併している危険性が高いことが、欧米人だけでなく日本人でも報告されている。しかし、耳朶皺襞があることが将来の心血管病を予測できるかどうかについては明らかではない。耳朶皺襞があることは、心血管病の独立した危険因子であるという報告がある一方で、関連を認めない、あるいは、単に加齢による影響にすぎないという報告もあり、一定の見解が得られていない。もしも、耳朶皺襞があることが将来の心血管病を予測できるのならば、耳たぶのしわを診ることで将来の心血管病を未然に防ぐことができる可能性がある。これまでの研究で一定の見解が得られていない理由の一つとして、耳朶皺襞がある、ないといった評価が人によって異なる可能性が考えられる。すなわち、もしも耳朶皺襞を異なった評価で判断していれば、一定の見解が得られない可能性がある。そこで本研究では、心血管病のハイリスク集団である血液透析患者を対象として、耳朶皺襞の評価が人によって一致しているかどうかを評価者間一致率ならびにKappa統計量という指標を用いて検討し、さらに心血管病との関係を検討した。330名の血液透析患者の同意を得て、両耳朶の写真撮影を行い、耳朶皺襞があるかないかを2名で評価した。耳朶皺襞の評価者間一致率は86%、Kappa統計量は0.67(95%信頼区間 0.56-0.78)と中等度の一致率であった。330名のうち81名(24.5%)に耳朶皺襞を認めた。調査開始時に耳朶皺襞があった人は、ない人に比べて、高齢で、男性が多く、透析歴が短かった。調査開始時に耳朶皺襞があることと、心血管病の既往があることに関連は認められなかった(英文国際誌に採択され、印刷中)。調査開始時に耳朶皺襞がある人が、その後、心血管病になりやすいかどうかの調査をまとめつつある。
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Therapeutic Apheresis and Dialysis
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