研究課題/領域番号 |
23590784
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
田中 太一郎 東邦大学, 医学部, 講師 (70402740)
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研究分担者 |
山縣 然太朗 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10210337)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自己認識率 / awareness / 高血圧 / 脂質異常症 / 糖尿病 |
研究概要 |
高血圧や脂質異常症、糖尿病の有所見者に適切な治療が開始されるためには、有所見者自身がこれらの危険因子を有していると認識することが必要である。しかし過去の調査では、高血圧や脂質異常症の自己認識状況(awareness)があまり高くないことが明らかとなっている。さらに、治療ガイドラインの改定に伴う診断基準の変化が自己認識状況に影響している可能性があるが、最新ガイドライン下での自己認識状況は明らかとなっていない。そこで、本研究では、1)患者集団ではない一般集団を対象に高血圧、脂質異常症及び糖尿病の自己認識状況を明らかにする、2)自己認識状況向上のための方策をポピュレーション・アプローチと個人向け介入の両面から開発し、さらに、介入群と対照群を設定した比較対照試験でその効果を検証する、を研究目的とする。平成23年度前半は関連するガイドラインの精査や文献レビューを進め、その結果に基づき、高血圧や脂質異常症、糖尿病の自己認識のない者及びその特性を把握するための問診票を開発した。そして、年度後半に職域集団1ヶ所(調査対象者:約1,000人)、地域集団1ヶ所(調査対象者:約3,500人)で健診対象者を対象に調査を行った。具体的には先に開発した問診票を各集団の定期健康診断時などに配布し、前年度の定期健診のデータで各疾患の有所見者であるにもかかわらず自己認識のない者の抽出を行い、その頻度を明らかにした。その結果、今回調査した地域集団における自己認識率は高血圧:83.1%(600/722)、脂質異常症:71.6%(683/954)、糖尿病:96.2%(103/107)であり、過去の調査と同様に脂質異常症よりも高血圧において自己認識率が高い傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の一つである「患者集団ではない一般集団を対象に高血圧、脂質異常症及び糖尿病の自己認識状況を明らかにする」については23年度に職域、地域とも各1集団で実施し、24年度の本格的な調査に向けて課題も抽出でき、達成度としてはおおむね順調である。「自己認識状況向上のための方策をポピュレーション・アプローチと個人向け介入の両面から開発し、さらに、介入群と対照群を設定した比較対照試験でその効果を検証する」という研究目的についても、先の調査結果をもとに自己認識状況向上のための方策の検討を進めつつあり、おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は職域1~2ヶ所、地域2ヶ所でさらに調査を実施し、患者集団ではない一般集団における高血圧、脂質異常症及び糖尿病の自己認識状況を明らかにする。そして、対象集団を介入集団と対照集団に分け、介入集団には前年度の成果を踏まえて、健診結果の通知方法や事後指導方法を改善し、高血圧や脂質異常症、糖尿病の有所見者のうち自己認識している者を増加をさせるための個別アプローチを開始する。同時にポピュレーション・アプローチとして集団全体への情報提供を開始する。介入が先行した集団で開発した手法を漸次改良しながら後発の集団で検証し、最終的に多くの地域・職域に普及可能な方法を抽出してモデルプランを構築する。平成25年度は介入群と対照群を追跡して、本研究で開発した手法が実際に自己認識率の向上に繋がったどうかの評価を行なう。効果が不十分な点については考察を加え、最終的な手法の改良を行なう。研究成果を広く公表し、関連する学会での発表や論文公表、マニュアル作成を通じて普及する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は研究打ち合わせや調査に伴う旅費、データ入力に伴う費用、自己認識率を向上させるための啓発用ツールの作成等に使用予定である。なお、研究の採択通知時期の関係で研究開始が23年5月からとなったため、職域・地域での定期健康診断の時期までに調査の準備が整わず、いくつかの集団における調査が24年度に持ち越しとなった。加えて、研究代表者の年度途中での所属機関の異動もあったため、直接経費に次年度使用額が生じた。23年度に調査が出来なかった集団については24年度に調査を実施する予定で、23年度の直接経費に発生した次年度使用額についてはこれらの調査に使用予定である。
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