研究課題/領域番号 |
23590789
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
樋口 倫代 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00547557)
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研究分担者 |
川口 レオ 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70508895)
水元 芳 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (20581630)
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キーワード | プライマリヘルスケア / アクセス / 地域保健 / 質的研究 / 東ティモール / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成24年度は、研究代表者が研究対象地に3回渡航してデータ収集を進めた。まず、1回目渡航の平成24年11月7日~22日には、主に首都ディリ市において、保健省(中央)、国連関連機関、NGOなどでプライマリヘルスケアの政策・制度策定、実施計画やプログラム提供に関わる部署の担当者に聞き取りを行い、資料を収集した。この分析結果は平成25年3月2日の第28回国際保健医療学会西日本地方会で発表した。 2回目渡航の平成25年1月22日~30日には、予備調査および主となる調査の準備を行った。すなわち、地方でのデータ収集に備えて、関係部署からの聞き取りと調整、現地の研究補助者との打合せをし、昨年度作成済みの半構造化トピックガイドなどのデータ収集ツールを見直し、修正した。3回目渡航の2月16日~3月15日では、前半は5人のデータコレクターに対して研究代表者と現地の研究補助者が調査方法などをトレーニングし、プレテストを実施した。引き続き、研究補助者とデータコレクターの6人が2県(各県2郡、各郡2村ずつの計8村)で県保健局職員、郡の保健センター職員、コミュニティーの保健ボランティアおよび住民らに、トピックガイドを用いてインタビューした。これは、地方で予定しているのデータ収集の半分にあたる。 これらに並行して、今回の調査データによるものではないが、質的分析による地域保健研究論文3本を作成した。うち1本は東ティモールにおける健康行動、1本は同様の紛争後復興期にあるスリランカ東北部における医師不足をテーマとしたもので、いずれも学術誌に採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東ティモール保健セクター復興開発に関する聞き取りについては、テーマを乳幼児栄養不良対策に関連するプログラムに関する内容に絞る方針に微修正し、その範囲では終了した。主となる調査(東ティモール農村部における保健へのアクセスについての質的インタビュー)は、当初は3年目(平成25年度)に行う予定であったが、24年から開始することができ、順調に進んでいる。また、今回の調査データより学会発表を1回、今回の調査データによるものではないが、研究テーマに関わる質的分析による学術論文2本が採択され、さらに1本も執筆の最終段階まで進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度11月のデータ収集による結果は、日本国際保健医療学会西日本地方会で発表したが、今後単独で論文化するとともに、この時収集されたデータをその後地方で収集するデータと合わせて再分析する。 平成24年2-3月に収集済みのデータおよび、5月に収集予定のデータ、すなわち合計4県における県と郡の保健職員、保健ボランティア、住民に対するインタビュー録音は、現地の研究補助者らが現地語のまま逐語で文書に起こし、英訳した文書をもとに質的分析を行う。分析結果は11月3日に第28回日本国際保健医療学会学術大会のフォーラムで発表予定である。学術大会や現地で得られた示唆を反映させて論文化する。学術発表以外に、文書化されたインタビュー記録は、個人が特定されない内容の範囲で保存しデータベース化し、各種関連活動に活用できるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、地方でのデータ収集の後半と昨年度分も含めてインタビュー録音データの文書化、英訳、分析を行い、年度の下半期には公表を開始する。研究代表者と分担研究者のべ3回の東ティモールへの渡航滞在費、現地の研究補助者、データコレクター(インタビュアー)の謝金、車両借上料、複写費、通信費などを使用予定である。
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