研究課題
平成24年度は、平成23年度に構築した「調査・認知機能評価」→「対象者への結果返却」→「データの蓄積」などの枠組みに沿って、認知機能検査(CASI: Cognitive Assessment Screening Instrument)順調に行うことができた。その結果、当初の計画目標であった400名を大きく上回る対象者に認知機能を施行することができた(平成25年4月11日現在、約560名)。認知機能の結果にて得点(スコア)が一定の基準に満たず、認知症の可能性のある場合などの専門医療機関への紹介なども引き続き行っている。これを受けて、平成24年度は、研究・解析用のデータベース作成、データクリーニング、および予備解析に着手した。潜在性動脈硬化指標としての冠動脈石灰化スコア、上腕-足踝脈波伝達速度(brachial-ankle pulse wave velocity: baPWV)、ABI(足関節・上腕血圧指数)などに加え、慢性腎臓病関連項目(推定糸球体濾過量および半定量タンパク尿)、その他の関連因子、具体的には診察室血圧・家庭血圧、血糖、リポタンパク分画を含む脂質(総コレステロール、HDL-コレステロール、LDL-コレステロール)や肝機能検査、C-反応性タンパク(CRP)やフィブリノーゲンなどの炎症性マーカーおよび飲酒・喫煙、身体活動度、食習慣、(高血圧、糖尿病、脂質異常などの)薬物治療状況などのデータを突合させた。このようにして作成した、突合データを用いて65歳-81歳の対象者約540名を予備的に解析した。成果は第49回日本循環器病予防学会に採択され、発表予定である(口演:平成25年6月15日)。
2: おおむね順調に進展している
上述のごとく、対象者数は計画目標400名をはるかに上回り500人を超え、データベースの整備などを行うことができた。また、予備解析ではあるが、横断研究の成果が学会に採択された。以上より、ほぼ計画どおりの進捗状況であると考える。
前年度(平成23年度)同様、今年度も新たなCASI(認知機能試験)面接者の人材確保の必要がある。それに伴い、面接者トレーニングおよび人件費が必要である。また(全体の対象者数は予定を超えたが)、当初の予定であった60歳以上の対象者でまだ調査依頼を行っていない方もおり、今年度も調査は継続しサンプル数を増やしていく予定である(当初の計画にも、最終年度まで調査を行う旨記載している)。一方、現在の予備解析から、慢性腎臓病に関連した指標などの追加測定が有用である可能性が示唆されており、今年度の研究費にて測定することを検討する。(必要に応じて生体指標の測定を考慮することは、昨年度の推進方策でも報告している)。連携研究者である椎野(脳神経外科、認知症)から必要な助言を得て、予備解析結果を学会で発表予定である(第49回日本循環器病予防学会:平成25年6月15日予定)。また、現時点で検討していないその他の生体指標に関してもさらに検討を行い、それらの結果を踏まえて学術誌への投稿を行うことを目標としている。
調査員(研究協力者)の人件費に加え、情報収集および成果発表のための学会参加などを予定している。生体指標の測定を考慮する。また次年度後半に、大学の事情により調査場所が変更となるため、それに伴う物品購入の可能性がある。
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