本研究は滋賀医科大学を研究母体として既に実施している本体研究の補完的なものである。本体研究は平成17-20年度に潜在性動脈硬化関連指標を測定した対象者約1200名に対して、既に平成22年度より追跡調査が開始されている。本研究の対象者はその中でベースライン時に年齢が60-70代の高齢者約900人としている。 予定通り追跡調査は終了した。内容は下記の問診、身体計測、検査である。(生活習慣指標)生活習慣に関する詳細な問診、(身体計測)身長・体重・腹囲・腹腔径・血圧、(空腹時採血・採尿)一般的な血液生化学検査、血清脂質検査、血糖値など、(12誘導心電図)、(頚部エコー検査による頚動脈内膜中膜肥厚・プラーク計測)、(腹部CTによる内臓脂肪・皮下脂肪の測定)、(脈波伝播速度PWV、Ankle-brachial index)、(マルチスライスCTによる冠動脈石灰化)。糸球体濾過量GFRについてはMDRD(Modification of Diet in Renal Disease)法を使い、血清クレアチニン値や年齢、身長、体重から推定値を計算した。また平成24年度には、ベースライン時に採取し-70℃に保存した血漿よりADMAを測定し、初回調査データベースを完成させている。 研究参加者には、動脈硬化精密検査結果を含め検査結果を郵送し、利益還元を行った。 平成26年3月に上記の初回調査データベースをもとに、血漿ADMA値と潜在性動脈硬化指標との関連について横断的解析を行い、American Heart Association EPI/NPAM2014(サンフランシスコ)にてその研究成果を発表した。 平成26年度はさらに血漿ADMA値と潜在性動脈硬化指標の進展との関連について縦断的解析を行った。上記横断的解析結果の論文化を含めその研究成果を準備中である。
|