研究課題/領域番号 |
23590798
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 大悟 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (10596828)
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研究分担者 |
清原 裕 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80161602)
二宮 利治 九州大学, 大学病院, 助教 (30571765)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ADL障害 / 地域一般高齢者 / 時代的推移 / 認知症 / 脳卒中 |
研究概要 |
1)平成23年度は、日常生活動作(ADL)障害の頻度と原因疾患について検討した。2005年に65歳以上であった久山町高齢者1550名を対象に、Barthel Index 95点以下で定義したADL障害の頻度とその原因について横断研究を実施した。対象者のうち311名がADL障害を有しており、その頻度は20.1%であった。ADL障害の頻度は、年齢階級が上がるとともに直線的に増加し、男性と比較して女性で高く、特に85歳以上の女性で頻度が高かった。ADL障害の原因疾患の内訳は、男性では認知症23.5%、脳卒中24.7%、整形外科的疾患12.9%、その他の疾患38.9%であり、女性では認知症35.8%、脳卒中9.3%、整形外科的疾患31.0%、その他の疾患23.9%であった。年齢別にADL障害の原因疾患について検討すると、75歳以上では認知症が最も多く、65-74歳では脳卒中が最も多かった。また寝たきりの人の原因疾患の約3分の2は男女とも認知症であったのに対し、軽度から重度のADL障害者の主な原因疾患は、男性では脳卒中、女性では整形外科的疾患であった。寝たきりの人の94.8%は入院や老人保健施設に入所していた。結論として、日本人高齢者におけるADL障害は一般的にみられ、その主な原因疾患は男性では脳卒中、女性では認知症であった。以上より、日本の様に高齢化が進んでいる国では、ADL障害の予防の為に認知症や脳卒中の対策が重要であることが示唆された。本結果は英文誌であるJournal of Epidemiologyにアクセプトされている。2)1985年、1992年、1998年、2005年に65歳以上の久山町高齢者を対象に実施されたADL・認知機能の評価を含んだ高齢者調査のデータセットを整備した。さらに平成24年度に実施予定である高齢者調査の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画どおり、2005年に2005年に65歳以上であった久山町高齢者1550名を対象に、ADL障害の頻度とその原因について横断研究を実施し、ADL障害の原因疾患として認知症の割合が最も多い事を明らかにした。これにより、増加しているADL障害の予防には、認知症の対策が重要であることが示唆された。加えて1985年、1992年、1998年、2005年に65歳以上の久山町高齢者を対象に実施されたADL・認知機能の評価を含んだ高齢者調査のデータセットを整備した。また平成24年度に実施予定である高齢者調査の準備を行った。これにより予定通り平成24年度にADL・認知機能の評価を含んだ高齢者調査の実施し、平成25年度に過去4回のデータと連結した後に27年間に渡るADL障害の頻度とその原因疾患の推移について解析する事が可能である。これらのことより本研究は、計画どおり順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1)平成24年度には、65歳以上の久山町住民に対し質問紙を用いた面接調査を実施する(一次調査)。調査期間は6か月間であり、調査場所は久山町のヘルスセンターや各地区の公民館、自宅とする。入院、入所中の者には各病院・施設にて調査を実施する。面接調査実施者はトレーニングを受けた医師・保健師・看護師とする。調査項目は、ADL、IADL、認知機能、うつ、社会経済的情報(職業、婚姻状況、家族状況、同居の有無、交流の有無)疾患の既往歴、家族歴、服薬状況、睡眠状況である。ADLの評価にはBarthel Indexを用いる。一次調査において、ADLの低下ありとなった者には、専門医による二次調査を実施し、他の所見と合わせてADL障害の診断を行う。原因疾患の評価には、高齢者調査時の既往歴、通院歴がある者には診療カルテや看護記録、画像所見(CT,MRIなど)、毎年行われている久山町生活習慣病健診の結果など詳細な医療記録を用いて行う。2)平成25年度には、平成24年度に行われた高齢者調査のデータを整備し過去の1985年、1992年、1998年、2005年のデータと連結させ、ADL障害の頻度とその原因疾患の27年間に渡る推移を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)平成24年度には、65歳以上の久山町住民に対しADL、IADL、認知機能、うつ、社会経済的情報(職業、婚姻状況、家族状況、同居の有無、交流の有無)疾患の既往歴、家族歴、服薬状況、睡眠状況について質問紙を用いた面接調査を実施する。調査期間は6か月間であり、調査場所は久山町のヘルスセンターや各地区の公民館、自宅とする。入院、入所中の者には各病院・施設にて調査を実施する。面接調査実施者はトレーニングを受けた医師・保健師・看護師とする。この調査における人件費、必要物品費として研究費を使用する。2)得られたデータをSASやSTATAなどの統計ソフトを使用し統計学的に分析する。研究成果は国内学会、国際学会で報告するとともに、英文誌に投稿する。また、久山町住民のみならずわが国、国民に対してマスメディアおよび公開講座を通じて情報を発信する。これら統計解析に使用する備品類や学会費、結果の広報費として研究費を使用する。
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