研究課題/領域番号 |
23590798
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 大悟 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (10596828)
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研究分担者 |
清原 裕 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80161602)
二宮 利治 九州大学, 大学病院, 助教 (30571765)
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キーワード | ADL障害 / 地域一般高齢者 / 時代的推移 / 認知症 / 脳卒中 |
研究概要 |
1)平成24年度は、福岡県久山町に在住の65歳以上の高齢者を対象に、ADL、認知機能、うつ症状などを含めた調査を実施した。調査は平成24年5月28日から実施し、対象者の90%以上の受診を目標に現在も継続中である。調査場所は久山町のヘルスセンターや対象者の自宅としたが、調査時に入院や入所をしている者には、各病院や施設に出向き調査を行った。調査項目は、ADL、IADL、認知機能、うつ、社会経済的情報(職業、婚姻状況、家族状況、同居の有無、交流の有無)、疾患の既往歴、家族歴、服薬状況とした。ADLの評価にはBarthel Indexを用い、95点以下をADL障害ありとした。面接調査は、トレーニングを受けた医師・保健師・看護師が実施した。 2)平成23年度に整備した1985年、1992年、1998年、2005年の高齢者調査のデータを用い、ADL障害の頻度とその原因疾患の時代的推移について検討した。結果としてADL障害の頻度は時代とともに増加し、その原因疾患として認知症が各時代とも最も多かった。また認知症は、寝たきりに近い重度ADL障害の原因疾患として特に増加していた。ADL障害者の予後について5年生存率で比較すると、ADL障害者の予後は、1985年から1998年にかけて改善したのち2005年にかけて横ばいとなっていた。これらのことから、ADL障害の予防を目指す上で、従来行われている脳血管疾患に加え近年急増している認知症の対策が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、平成24年度は、福岡県久山町に在住の65歳以上の高齢者を対象に、ADL、認知機能、うつ症状などを含めた調査を実施し、受診率90%を目標に現在も継続中である。これに加え、平成23年度に整備した1985年、1992年、1998年、2005年の高齢者調査のデータを用い、ADL障害の頻度とその原因疾患の時代的推移について検討した。結果としてADL障害の頻度は時代とともに増加し、その原因疾患として認知症が各時代とも最も多かったこと、また認知症は寝たきりに近い重度ADL障害の原因疾患として特に増加していたこと、さらにADL障害者の予後は、1985年から1998年にかけて改善したのち2005年にかけて横ばいとなっていたことが明らかとなった。今後、これらのデータと平成25年度に完了する調査データを連結することにより地域高齢者におけるADL障害とその原因疾患についての27年間にわたる長期間の時代的推移の検討が可能となる。これらのことより本研究は、計画通り順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には、平成24年度より福岡県久山町に在住の65歳以上の高齢者を対象に行っているADL、認知機能、うつ症状などを含めた調査を引き続き実施し年度内に完了する。調査終了後データの整備を行い、久山町で1985年、1992年、1998年、2005年に実施した過去の高齢者調査のデータと連結させ、地域高齢者におけるADL障害とその原因疾患についての27年間にわたる推移を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)平成25年度には、平成24年度より福岡県久山町に在住の65歳以上の高齢者を対象に行っているADL、認知機能、うつ症状などを含めた調査を引き続き実施する。この調査にかかる人件費、必要物品として研究費を使用する。 2)得られたデータをSASやSTATAなどの統計ソフトを使用し統計学的に分析する。研究結果は国内学会、国際学会で発表するとともに、英文誌に投稿する。また、久山町住民のみならずわが国、国民に対してマスメディアおよび公開講座を通じて情報を発信する。これら統計解析に使用する備品類や学会費、結果の広報費として研究費を使用する。
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