研究課題/領域番号 |
23590799
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤本 秀士 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30199369)
|
研究分担者 |
重松 美加 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (20299598)
小島 夫美子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80136564)
|
キーワード | Campylobacter enteritis / Food poisoning / Molecular epidemiology / カンピロバクター腸炎 / 食中毒 / 分子疫学 |
研究概要 |
カンピロバクター腸炎の実態解明を目的に,福岡地域のカンピロバクター腸炎患者症例の検体臨床情報,分離菌株情報として鞭毛遺伝子(fla A)によるPCR-RFLP解析結果,Multi Locus Sequence Typing (MLST)解析結果などの情報を実験データ統合環境ツールBioNumericsによりデータベース化し,各データを連結した相互解析を行った. 本感染症の大部分を占める散発性腸炎では,患者年齢分布は30歳未満の割合が全体の約9割を占め,特に5~9歳での発生数が最も多く,次いで10~19歳であった.1歳未満の発生率が非常に少なく,欧米と大きく異なっていた.男女比は欧米の報告とほぼ同様であった.分離菌株の分子生物学的菌種同定では,C. jejuniが最も多く,次いでC. coliだった.fla A PCR-RFLP法では,多くの菌株ではパターンが異なっていたが,同一パターンを示す菌株グループも見られた.MLST解析では,世界的流行のSTタイプ群に混じって,日本独自のものと考えられるSTタイプが見られた. 福岡市内の飲食店で発生した集団食中毒事例(11名グループ中8名が症状を訴え,便培養で8名全員からカンピロバクターが検出)では,症状で下痢が有症者全員にみられ,期間は3~10日間であった.発熱は一部に見られた.分離された10菌株は,生化学的性状検査および分子生物学的検査で全てC. jejuniと同定された.これらの菌株は鞭毛遺伝子の解析(fla A PCR-RFLP),,RAPD法および細胞致死性伸張化毒素cytolethal distending toxinの遺伝子解析においても2群に分けられた.MLST解析で異なる2種類のSTタイプが検出され,互いに類縁関係がないことから,原因食材が由来の異なる2種類以上のC. jejuniに汚染されていたことが明らかになった.
|