研究課題
これまでの研究で、ニホンザルにおいてPTLV-1陽性率が非常に高いことが明らかとなっている。しかし、台湾における獣医からの聞き取りにより、タイワンザルではPTLV-1感染が知られているものの、陽性率は低いことが分かった。タイワンザルとニホンザルは雑種を形成するほど、社会構造や繁殖生態が類似することから、陽性率の違いはウイルス側の特性の違いに起因する可能性が高い。可能性の一つとして、ニホンザルのウイルス系統が、PTLV-1類では例外的に、血中に感染力のあるウイルス粒子を放出する能力を持つことが考えられた。そこで長崎大学に保存されているHTLV-1陽性者の血液をネガティブコントロールとして、PTLV-1陽性ニホンザルの血中のウイルスRNA量をRT-PCRで検出、定量する実験系を構築中である。平成23年度に、微量DNAの抽出と増幅の実験系は確立したものの、古い時代の骨断片からのHTLV-1の検出は困難であると結論づけられた。そこで、その検出系を活用して、古病理標本を対象とした分子疫学的研究を試行した。1966年~1980年に結核と診断された214症例のうち、168検体 (病変部のパラフィン標本) を対象とし、結核菌の薬剤耐性関連遺伝子の変異を調べることによって当時の耐性率について検証した。その結果、88検体 (52.4%) について結核菌DNA陽性と判定された。このうち42検体 (25.0%) についてrpsLが分析可能であり、耐性変異は15検体 (35.7%) で認められた。耐性株は1971年から75年のサンプルに集中していることがわかった。rpoBの変異は分析可能であった45検体中2検体で確認され、いずれも1971年以降の患者であった。SM耐性株のrpsL変異頻度は国内では約60%と推計されていることから、当時は半数以上がSM耐性であったことが推察される。
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Veterinary Pathology
巻: 50 ページ: 56-64
10.1177/0300985812442691
Journal of Veterinary Science
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