【目的】青年期成人の内臓脂肪は 充分に解析されていない.デュアルインピーダンス法による非侵襲的内臓脂肪測定装置,DUALSCAN(DS)を用いて青年期成人の内臓脂肪面積 (dsVFA)を評価し,生活習慣との関連性を検討した.【対象と方法】健康診断における男性427人,女性272人を解析した(平均年齢20.4,20.2歳,平均BMI21.9,21.2kg/m2).飲酒,喫煙,運動習慣は,その有無を問診し,食行動のくせとズレは食行動質問表による得点で評価した.【結果】(1)内臓脂肪面積(dsVFA)の分布.男性では,41.5±22.5cm2.女性では ,33.8±14.1.(2)腹囲との相関.男性での相関係数は良好であり(r=0.79),dsVFAの平均値は,腹囲 77.3cmに相当した.一方,女性での相関係数は小さかった(r=0.25).(3)生活習慣との関連性.平均+1SD以上のdsVFAであることを目的変数とした.食行動質問表の得点のオッズ比は,男で1.08(95%CI:1.03-1.13),女で1.08(95%CI:1.01-1.14)と有意な関連性を認めた.【結論】dsVFAの平均値はMetSの診断基準と比べると低い値であったが,食行動のくせやズレがあるほど,dsVFAが多いことが分かった. 交付申請書の研究目的は,大学在学期間中のBMIと代謝マーカーから,卒後数年後にメタボリックシンドロームに進展するしないと予知する事が目的である.本実績は,大学在学中の学生を対象とした断面研究である.よって,申請書の目的を達成することができない.しかし,在学期間中の食行動質問の得点と内臓脂肪面積との関連性が見いだせた.このことは,卒後のメタボリックシンドローム進展の予知因子として,内臓脂肪面積の定量や食行動質問表が,重要な予知因子になり得ることを示唆するものである.
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