研究課題/領域番号 |
23590806
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 貞夫 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20226509)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 疫学 / 萎縮性胃炎 / ペプシノーゲン / 肥満 / 生活習慣病 |
研究概要 |
慢性萎縮性胃炎(chronic atrophic gastritis;CAG)は,ピロリ菌感染を主な原因し,胃がんの危険因子であるため,予防のためにピロリ菌の除菌が行われている.しかし,実際にCAGから胃がんに進展する割合はわずかである.一方,CAGは胃の機能低下,食思不振などを起こすことがあり,有病者が摂取・吸収するカロリーは非有病者に比べ少ないことが考えられる.これは,メタボリックシンドローム(MetS)をはじめとする生活習慣病を予防する方向に働いている可能性があるが,このような観点からは公衆衛生的評価はされていない.この研究では,現在進行中のコーホート集団を使用して,CAG関連の疫学を,横断的,経時的に検討することを目的としている.本研究は,前向きの追跡研究であるが,平成23年度は,追跡の体制を整えることと,横断調査の中間解析を行うことを計画した.なお,岡崎研究は,平成19年2月に開始し,ベースライン調査(調査票,ペプシノーゲン値をはじめとした血液,尿データを収集)終了の平成23年度までに約7,500名の対象の情報収集が完了した.調査票の情報の入力も完了している.また,CAGの状態を評価するため,冷凍保存されている血漿に順次ペプシノーゲン法による検査を行った.これについても全例で検査は完了した.これ以外のベースライン情報の検診データのデータベースは,平成22年度分まで完成した.CAGの性・年齢別の有病率など,簡単な記述疫学についての集計はすでにできている.ピロリ菌感染状態,上部消化管画像との関連について検討するためには,平成23年度分の検診情報をさらにリンクする必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の対象者は約7500名で,確定した.ベースライン時の横断研究は,平成23年度までの対象者募集期間は継続し,それまでの横断研究の解析を更新した.最終的にはベースライン調査終了の平成23年度末に対象者が確定した時点での結果をもって記述疫学の最終結果とした.平成24年度中に全対象のペプシノーゲンを測定し,研究の全対象者のCAG有病状態を把握した.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には,対象者7500名の全ベースラインデータを確定させ,最終決定を行うものとする.現在データベースが揃っていない,平成23年度分の検診データを入手し,リンクさせる.重要な事項(特にピロリ菌の状態)について,欠損値があった場合,保存検体から測定することを考慮する.CAGに関する記述疫学研究と CAGと生活習慣,肥満,MetS,糖尿病,脂肪肝,インスリン抵抗性異常などのベースライン情報との関連についての横断研究を完成させ,ここまでの成果の発表を行う.平成24年度より,追跡調査を開始し,ベースラインからの変化についての情報を追加していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は大規模な物品の購入予定はない.追跡調査のための印刷,人件費・謝金,旅費,切手,通信代,学会発表のための旅費,保存検体の検査費などが主な研究費の使用用途である.
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