高齢化の急速な進展とともに、寝たきりや認知症の高齢者が急速に増加し、高齢者のQOL維持及び介護負担が問題になっている 。地域においても健康寿命延長の観点から 老化促進および緩和に関連する因子の特定と、その因子を活用した対策が期待されるが、現在まで老化推進・緩和を特定する 確実なバイオマーカーは知られていない。一方カロリー制限(CR)の老化防止効果や健康寿命増大は、霊長類においては確実視されており、 ヒトのボラ ンティア群における CRでは、体脂肪量の減少等、 虚血性心疾患危険因子の改善が認められているが、 一般集団についての知見は乏しい。 またいくつかの血中因子はヒトボランティア群において動物と同様の変動が認められ、これらの項目は老化緩和と関連している可能性がある 。 どの程度のエネルギー制限がヒトの健康寿命延長に効果があるかは決定されていないが、10~20%程度のCRは、健康で活動的な生活が送れるとされ、 一般の市民においてもみられる状態である。研究代表者らは、同意をいただいた一般地域住民の栄養調査を行い、摂取エネルギーを計算するとともに、同参加者の血液を採取し、エネルギー制限に関連する因子を探索した。本研究においては、地域住民を対象に、地域自治体担当者の協力を得て、前記エネルギー制限に関連するとされる血中指標の測定を実施し、摂取エネルギーとの関連を検討した。
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