研究概要 |
【目的】本研究の目的は、健診受診者26,469人を対象とした岩手県北地域コホート研究(県北コホート)のデータに医療費データを追加して、健診所見や生活習慣等のリスク要因を保有している者がどのくらい医療費を過剰に支出するのかを予測することである。本報告では平成23年度の研究実績を報告する。【方法】平成23年度は県北コホート対象地域のうち、東日本大震災の被害が比較的小さかった内陸地域(二戸地域)で医療費情報収集を行った。東日本大震災の被害が甚大であった沿岸地域(特に宮古地域)では医療費情報収集を断念した。したがって平成23年度は、二戸地域(4市町村)の県北コホート参加者9,422人中の国保加入者を対象とし、平成18年8月から平成23年2月まで(55か月間)の診療情報明細に基づく医療費情報を以下の手順で収集した。まず本研究実施に当たり、岩手医科大学医学部倫理委員会の承認を得た。次いで研究代表者と市町村の間で医療費情報の提供に関する覚書を締結した。医療費情報の収集では岡山(連携研究者)が開発した匿名化ソフトを用いて、氏名、性別、生年月日を検索キーとして県北コホートデータと国保加入者データを照合した。また被保険者証個人番号を検索キーとして国保加入者データと異動履歴データならびにレセプトデータを照合した。照合されたすべてのデータは匿名化ソフトを用いて匿名化され、個人情報との対応表は市町村において厳重に保管してもらうこととした。【結果および考察】県北コホート参加者9,422人中8,533人(90.9%)が国保加入者と確認され、この8,533人について55か月間のレセプトデータ延べ374,524件を収集した。現在データクリーニング中であるが、今後、平成22年度までに収集された5,142人の医療費データと合わせて健診所見や生活習慣等のリスク要因と医療費との関連を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年3月11日に発生した東日本大震災により岩手県沿岸地域の行政機能は不全状態に陥った。このため当初予定していた沿岸地域での医療費情報収集を断念した。しかし上記研究実績の概要でも述べたとおり、本年度は内陸に位置する二戸地域(4市町村)の対象者8,533人、延べ374,524件のレセプトデータを収集した。研究代表者は平成22年度までに5,142人の医療費データを収集した。これと合わせると約1.3万人の医療費データとなり、研究目的を達成するために十分なデータ数を確保できたと考える。
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