研究課題
【目的】健診受診者26469人を対象とした岩手県北地域コホート研究(県北コホート)のデータに医療費データを追加して、循環器疾患の危険因子の医療費過剰支出への影響を検討した。【方法】県北コホート参加者のうち75歳未満の市町村国保被保険者10899人(平均59.8歳)を解析対象とした。危険因子として、高血圧は収縮期血圧値/拡張期血圧値≧140/90 mmHgまたは治療中、糖尿病は随時血糖値≧200 mg/dLまたはHbA1c (NGSP) ≧6.5%または治療中、脂質異常症は総コレステロール値≧220 mg/dLまたはHDLコレステロール値<40 mg/dLまたは治療中と定義した。BMI(kg/m2)は<18.5、18.5-24.9、25-29.9、≧30 kg/m2の4群に、喫煙状態は現在喫煙、過去喫煙、非喫煙の3群に分類した。推定糸球体濾過量(eGFR)はCKD-EPIの日本人修正式を用いて計算し、慢性腎臓病(CKD)はeGFR<60 ml/min/1.73m2または尿中アルブミンクレアチニン比≧30 mg/gと定義した。対象者の2006年から2011年に支払われた医療費総額を期間中の加入期間で除して1か月当たりの総医療費を算出し、各危険因子の過剰医療費割合を算出した。【結果】高血圧あり、糖尿あり、脂質異常症あり、BMI≧30 kg/m2、現在喫煙、過去喫煙およびCKDありの者の総医療費はそれぞれ、高血圧なし、糖尿病なし、脂質異常症なし、BMIが18.5-24.9 kg/m2、非喫煙およびCKDなしのそれに比べて有意に高かった。各危険因子の過剰医療費割合は高血圧ありで15.6%、CKDありで10.1%であった。他の危険因子ではそれぞれ、糖尿病ありで2.8%、脂質異常症ありで3.3%、現在喫煙で2.8%、過去喫煙で2.6%、BMI≧30 kg/m2で1.3%であった。【結論】循環器疾患の危険因子がある者はない者に比べて1か月当たりの総医療費が高かった。また高血圧およびCKDが医療費の過剰支出に寄与する危険因子であることが示唆された。
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