研究課題/領域番号 |
23590811
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
佐藤 憲一 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (30158935)
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研究分担者 |
佐藤 研 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (00215782)
川上 準子 東北薬科大学, 薬学部, 助教 (40438560)
星 憲司 東北薬科大学, 薬学部, 助教 (20405913)
青木 空眞 東北薬科大学, 薬学部, 助手 (40584462)
中川 吉則 東北大学, 大学病院, 助教 (20400351)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 健診 / 甲状腺機能異常 / スクリーニング / 基本的検査 / インフォマティクス |
研究概要 |
2008年7月から本手法によるスクリーニングを実施しているJR仙台病院人間ドック施設での実績から、受診者の測定済み基本的検査を用いて行う本スクリーニング手法の有用性が確認できたので、全国の人間ドック施設において実際されるなら年間一万人規模で甲状腺機能異常者の発見が期待できることもわかり、論文で発表した(研究論文1)。また、施設でのスクリーニングに伴う情報をAccessデータベース化したので解析が容易になり、最適な疑い予測率の閾値の設定情報など、有益な知見を得た。甲状腺機能異常症患者のサンプル数は分担者中川の努力により着実に増加しており、スクリーニングの安定性と精度の向上に向けて、今後の大きな成果が期待できる。亢進症の10%を占める破壊性甲状腺炎(無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎)とバセドウ病の鑑別を検討した結果、8項目セット(ALP・S-Cr・UA・TC・RBC・Hb・Ht・PLT)を用いれば3者の鑑別が9割の精度で可能である事が確認できた。この結果は複数の基本的検査セットに注目する方法の汎用性を示唆する。亢進症でALP,S-Cr,TCの3項目、低下症でLDH,S-Cr,TC,RBCの4項目を用いるこれまでの手法の改良点として、亢進症での心拍数追加、TCへの服薬補正の考慮、および検査値時系列変化の特徴を考慮、を検討した結果、いずれも、精度向上に寄与することが確認できた(研究論文3)。研究協力者の吉田は、新たに東北公済病院人間ドックにおいて2011年9月よりスクリーニングを開始した。これまでに、7名の甲状腺機能異常者を発見しており、特に、JR仙台病院人間ドックでは未だ見つかっていなかった顕性の女性低下症患者も発見したので、本スクリーニング手法により、男女とも甲状腺機能異常(亢進症、低下症)者を見つけられることが確定し、その有用性は一段と高まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に掲げた7項目中、(1) 甲状腺機能異常患者のサンプル数を増やしスクリーニングの安定性と精度の向上を図る 、(2)亢進症の10%を占める破壊性甲状腺炎、とバセドウ病の基本的検査セットによる鑑別 、(4) 検査値の時系列変化を加味したスクリーニングへの発展 、(5) 実用化に向けて新たな健診施設でのスクリーニング実施、についてはH23年度内に大きな進展があった。さらに亢進症スクリーニングでは心拍数を加えた4項目での精度向上、亢進症・低下症とも脂質異常症併発者での服薬補正による精度向上が達成された。これらについては、学会、研究会での発表や論文掲載により公表した。人間ドック学会からは2011.8の学会発表関連テーマで人間ドック研究誌への論文投稿の依頼があり、高い評価を頂いたと考えている(論文3)。(3)4項目セットによる低下症のスクリーニングを軽度患者でも精度向上可能な拡張を目指す、(6)ホルモン検査と複数の基本的検査項目セットの強い重相関を臨床応用の指標として活用する、(7)抗甲状腺薬の服薬指導にスクリーニングで有用なSOMマップを応用してコンプライアンスの向上を目指す、については、H24年度、H25年度の課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
分担者中川の努力により甲状腺機能異常症患者のサンプル数が着実に増加しているので、スクリーニングの安定性と精度の向上を検証する予測計算も学生と共に進めていく。JR仙台病院でのスクリーニングの結果を集積したAccessデータベースは、今後、公済病院人間ドックの結果も取込む事で、施設間の違いなども比較しやすくして解析を進める。亢進症のバセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎の3者の鑑別を、今後もサンプル数を増やして追試を進めていく。8項目による鑑別手法は、人間ドックでのスクリーニングにより発見された亢進症患者や分担者中川が集めたアミオダロン服用などによる薬剤性亢進症患者の鑑別について解析を進める。検査値の時系列変化を加味したスクリーニングへの発展では、これまでにグラフやSOMマップを使い本手法での発見患者と偽陽性者での時系列変化にみられる特徴の相違をビジュアルに把握してスクリーニング精度向上につなげる得る事がわかったので、今後、より定量的な解析法に発展させたい。実用化に向けて、現在、2つ目の人間ドック施設で甲状腺機能異常者のスクリーニングを実施しているが、今後、研究の進展を反映させてスクリーニング用の判定ソフトを改良し、実施施設を新たな人間ドック、開業内科医の方々の病院、へと広げたい。全国に広げるためには病院情報システム業者にも協力を依頼したい。その際、ホルモン検査と複数の基本的検査項目セットの強い重相関を臨床応用の指標とするやり方も簡易で有力な手法となりうるので、試行する。伊藤病院・吉村先生にデータ提供の協力を頂いているので、4項目セットによる低下症のスクリーニングを軽症患者でも確実に疑えるよう精度向上を目指した解析も検討したい。抗甲状腺薬の服薬指導にスクリーニングで有用なSOMマップを活用した患者コンプライアンスの向上が可能かは薬剤部の協力により進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は設備備品費としてNAS(ネットワークストレージ)を購入して、計算サーバに付随する大量データの保存を充実させる。消耗品費としてスクリーニングで疑われた受診者の甲状腺ホルモン測定の検査料支払いを予定している。偽陰性の防止に向けて、基本的検査セットからの疑いが強くない受診者でもホルモン測定を行いチェックする必要がある。旅費の支出により、代表者・分担者は学会・研究会に参加して本研究の成果を発表すると共に、有用な新情報を収集する。その他の支出として、成果の論文掲載を積極的に進める際に使用する。
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