研究概要 |
本研究では、新潟県津南町(人口約12000人)における平成21-24年度の中学3年生の338名のうち、本人・保護者から同意を得た児童331人(男児:191人、女児:140人、参加率97.9%)を対象に、空腹時採血を行ってきた。 本年度は、空腹時インスリン値ならびに血糖値よりHOMA-β指数を求め、HOMA-β40未満をインスリン分泌不全ありとして、インスリン分泌不全に焦点を当てた。またインスリン分泌不全を関連することが予想される因子(BMI, HDL TG, 収縮期血圧)に関してロジスティック回帰分析を用いて検討した。値の比較には、t検定もしくはχ2乗検定を用いた。本研究は東京慈恵会医科大学の倫理委員会の許可を得て行った。 男児のHOMA-β指数およびBMIの平均値±SDは、それぞれ, 74.1±43.2、19.7±2.5で、女児ではそれぞれ101.1±63.1、20.5±2.7であった。男女間で比較すると、HOMA-β指数およびBMI共に女性で有意に高値であった(p=0.007, P<0.001)。 インスリン分泌不全有りとされた児童の人数(%)は、男児/女児で38(19.9)/10(7.1%)人で、女児の頻度が有意に低かった(p=0.001)。インスリン分泌不全ありを従属変数としたロジスティック回帰分析を男女別に行ったところ、男性ではBMI低値(オッズ比1.32(95% 信頼区間:1.06-1.65,p=0.014)とTG低値(オッズ比1.022(95% 信頼区間:1.004-1.04,p=0.015)が有意に関連していたが、女性では有意なインスリン分泌低下の予知因子は示されなかった。 今後、インスリン分泌不全ありとされた児童(特に男児)を長期にわたり追跡し、生活習慣病の発症との関連を検討したい。
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