研究課題/領域番号 |
23590816
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小林 寅吉 東邦大学, 看護学部, 教授 (10533028)
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研究分担者 |
金子 明寛 東海大学, 医学部, 教授 (30185920)
金山 明子 東邦大学, 看護学部, 助教 (90536195)
長谷川 美幸 東邦大学, 看護学部, 非常勤研究生 (30598446)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 感染症 / 医療・福祉 / 衛生 / 微生物 / 環境 |
研究概要 |
患者の温水洗浄便座の使用が病院内感染リスクとなりうる可能性を考察することを目的とし、病院内の温水洗浄便座装置についてノズル部分と便座表面の細菌調査を行った。平成23年度は、病院内便座の約250台を対象とし、試料を採取した。採取は滅菌綿棒にて行い、滅菌生理食塩液に懸濁後、培養用培地に塗布し培養を行った。培養されたコロニーの数をカウントし、各コロニーの同定を行った。主要分離菌については抗菌薬に対する耐性菌スクリーニングを行った。その結果、総菌数はノズルから採取した試料の方が便座表面と比較し多く認められた。大腸菌、クレブシエラ、エンテロバクターなどの腸内細菌、緑膿菌を主とするブドウ糖非発酵菌のグラム陰性菌および腸球菌が複数のノズルおよび便座表面から検出されたが、便座表面に比べノズルからの検出率が高く、菌数も多かった。黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌も両部位から検出されたが、ノズルよりも便座表面からの検出率が高かった。その他、通常水回りを中心とした環境に生息する多数の菌種が検出された。これらの細菌は、1試料から複数菌種が分離され、その傾向はノズル部分において顕著であった。分離菌の抗菌薬感受性測定により、大腸菌にESBL産生株、黄色ブドウ球菌にMRSAが認められた。これらの成績により、病院内温水洗浄便座装置の主にノズル部分には糞便由来と考えられる細菌が複数菌種付着していることが明らかとなった。これらには病院内感染の原因として重要なMRSAおよびESBL産生株も含まれるため、易感染患者が使用する病院においては交差感染防止のための管理方法の確立が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では平成23年度および24年度の2年間で目標の半数ずつ試料の採取を行う予定であったが、実際は平成23年度において目標の約9割の試料の採取が終了した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度では平成23年度に実行できなかった病棟において試料を採取を行い。培養、同定、抗菌薬感受性測定、耐性菌の検出および疫学的調査を行う。また、平成23年度採取試料の分離株の解析を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接経費はすべて、平成24年度の試料採取、培養、同定、抗菌薬感受性、耐性菌の解析、疫学的解析に使用する物品(試薬、消耗品、遺伝子解析外注)に使用する。
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