研究課題
富山県の某製造業事業所の35-57歳の従業員(交替勤務者を除く)を対象とした。ベースラインで高感度C反応性蛋白(hsCRP)などの測定とピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)(一部簡略化)にもとづく睡眠状況などの生活習慣の評価を行い、3年追跡後に再度hsCRPを測定した。このうち循環器疾患の既往がなくhsCTPが1.0 mg/L未満である991名(男性375名、女性616名)を解析対象者とした。PSQI総合点が5.5点を超える不良な睡眠を有する者は23.8%であった。良い睡眠群でのhsCRPの3年間の増加量(ベースラインでのhsCRPの粗幾何平均値0.175mg/L→3年後 0.240mg/L)と比べると、不良な睡眠群でのその増加量(0.186mg/L→0.283mg/L)は大きかった。各群のベースライン時のhsCRPや他の交絡因子を調整した3年追跡後のhsCRPの幾何平均値を共分散分析で比較したところ、良い睡眠群(0.242 mg/L)よりも不良な睡眠群(0.275 mg/L)で有意に高かった(p=0.04)。3年追跡後のhsCRPが1mg/L以上という炎症の発生率は良い睡眠群(9.1%)よりも不良な睡眠群(16.1%)で高かった。良い睡眠を基準とした不良な睡眠での炎症惹起のオッズ比をロジスティック回帰モデルでベースライン時のhsCRPや他の交絡因子を調整して計算したところ2.08(95%信頼区間1.29-3.35)であった。対象集団を性別、年齢別(35-44歳、45-57歳)、代謝異常(高血圧、高コレステロール血症および糖尿病のいずれか一つ以上)の有無によって層別化して同様の解析を行ったところ、いずれの階層においても不良な睡眠は炎症を惹起する傾向であった。睡眠状況と各特性との間には炎症惹起に対する交互作用はみられなかった。不良な睡眠は炎症惹起と関係がある。
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Journal of Sleep Research
巻: 未定 ページ: 未定
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