研究課題
慢性腎臓病(CKD)の発症・進展には、インスリン抵抗性、炎症、酸化ストレス等が関与しており、動脈硬化の促進との関連も指摘されている。腎機能マーカーである血清シスタチンCと抗酸化作用を有するカロテノイド及びインスリン抵抗性と関連のあるアディポカインであるレジスチンの血清濃度との関連について検討を行った。また重回帰分析により、女性では血清シスタチン値は血清レジスチン値、血清ゼアキサンチン/ルテイン値、β-クリプトキサンチン値、β-カロテン値と有意な関連を認めた。腎機能と動脈硬化の関連を調査したところ、血管の硬さを表すstiffness parameter βは、男性ではeGFRと有意な負相関を認めた。縦断的に肥満やレジスチンの変化量と推算糸球体濾過量の変化との関連について調査した報告は少ないことから、住民健診受診者を対象として、1年間の肥満指標および血清レジスチン値の変化量と推算糸球体濾過量(eGFR)の変化の関連について検討を行った。重回帰分析により、肥満指標変化量とeGFR変化量との関連には性差を認めたが、肥満や血清レジスチン高値は腎機能低下の促進に関与することが示唆された。さらに、腎機能とmiRNAとの関連について解析を行った。microRNA(miRNA)はタンパク質をコードしない20~25塩基程度の一本鎖RNAであり、標的mRNAに相補的に結合することにより遺伝子発現を制御することが知られている。血清miRNAは疾患の病態や進行度合いにより発現量や種類が異なることが報告されており、診断や治療選択等におけるバイオマーカーとして期待されている。そこで住民検診受診者を対象として腎機能と血清miRNA値との関連について検討した。その結果、血清miRNA-126はeGFRと正相関を示した。これらの成果について国内および海外の関連学会にて報告を行った。
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Journal of Epidemiology
巻: 23(6) ページ: 451-456
10.2188/jea.JE20130058