研究課題
最終年度は、長野県県内の3中学校で学校健診を受けた中学生を対象にH.pylori感染率や胃粘膜の状況について調査を行った。血清抗H.pylori IgG抗体価が10U/mL以上を陽性とした。調査対象となったA校は山間部、B校とC校は農村部にある。A校で44人中、抗体陽性者は2人(陽性率4.6%)、B校で177人中、抗体陽性者は7人(陽性率4.0%)であった。C校で55人中、抗体陽性者は1人(陽性率1.8%)であった。B校とC校で232人について血清ペプシノゲンの測定を行った。 ペプシノゲンIの平均値は37.4±10.5、ペプシノゲンIIの平均値は8.3±3.7、I/II比の平均値は4.5±0.9であった。さらにH.pylori抗体陽性者は、ペプシノゲンIの平均値は57.7±18.1、ペプシノゲンIIの平均値は21.2±9.2とH.pylori抗体陰性者に比べて有意に高かった。一方、ペプシノゲンI/II比は2.9±0.5で、陽性者より有意に低かった。平成25年度の調査により、長野県における中学生のH.pylori感染率は3.6%と低いこと、陽性者のペプシノゲンI及びペプシノゲンII値の上昇、I/II比の低下が認められた。本研究では調査対象となった中学生1-3年生681人のうち、534人から同意が得られた。さらに453人については血清抗H.pylori IgG抗体検査を行った。全体では453人のうち、抗体陽性者は14人で、陽性率は3.1%であった。本研究より、長野県の中学生におけるH.pylori感染率は約3%と低かったことが明らかになった。 H.pylori抗体陰性者に比べ、抗体陽性者は血清ペプシノゲンIとII値が有意に高く、I/II比が有意に低いことも明らかになった。H.pylori抗体陽性の場合、炎症などによる血清ペプシノゲンの上昇が示唆された。
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Journal of Epidemiology
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Helicobacter
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