研究課題/領域番号 |
23590830
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研究機関 | 中村学園大学短期大学部 |
研究代表者 |
森脇 千夏 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 准教授 (90280289)
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研究分担者 |
内田 和宏 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 講師 (70301679)
八田 美恵子 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 助手 (70413622)
西頭 東加 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 助手 (90595654)
城田 知子 中村学園大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授 (80069781)
清原 裕 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (80161602)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 久山町研究 / 栄養疫学 / 音響的骨評価値(OSI) / 骨粗鬆症 / 食物消費構造 / 食習慣調査 |
研究概要 |
本研究の目的は、久山町における住民健診の結果から、骨密度と栄養摂取および食物消費構造の影響を横断的・縦断的に検討することによって、骨粗鬆症による骨折、引いては寝たきり予防のための食事性因子を解明し、具体的な栄養教育(指導)対策のための基礎資料を構築することである。本年度の健診は、6月から8月までの24日間で、受診者は男性973名、女性1,302名の計2,275名であった。骨密度の指標には超音波法による音響的骨評価値(OSI)を算出した。OSIを骨粗鬆症財団基準により判定したところ、要精検と判定された者が男性40名(4.1%)、女性453名(34.8%)であった。さらに、Young Adult Mean:YAM70%以下の者に対して骨密度検査に対する受診勧奨を行ったところ39名中/全体の1.7%のうち19名、約49%が骨粗鬆症と診断された(39名中内14名未受診)。この結果に加え、YAM70-79%の者が530名(全体の23.3%)であることも考慮すると骨粗鬆症予防のための基礎資料のさらなる検討が必要であると思われた。そこで、健診時に生活習慣等のアンケート調査を行ったところ、男女ともに現在の運動習慣や地域活動状況、骨折経験に加え、カルシウム食品の摂取状況では、牛乳摂取とOSI値との関連がみられた。さらに、2002年の住民健診時のデータをベースラインとして考え、骨密度を5分位し骨密度と栄養摂取、食物消費構造などの食事性因子との関連について横断的に検討した結果、副菜型や主食型のパタンが中高年齢者のOSI低下を予防することが示唆され、女性では菓子型のパタンがOSIを低下させることが示唆された。以上のことから、本研究をさらに継続し、対象者の世帯構成、運動習慣等を考慮し、骨密度と食事性因子との関連をさらに検討することで骨粗鬆症予防のための基礎資料の構築に寄与できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、久山町における住民健診の結果から、骨密度と栄養摂取および食物消費構造の影響を横断的・縦断的に検討することによって、骨粗鬆症による骨折、引いては寝たきり予防のための食事性因子を解明し、具体的な栄養教育(指導)対策のための基礎資料を構築することを目的としている。平成23年度の研究目的は、住民健診に参加しデータの収集を行うとともに、生活習慣アンケートを実施し一斉健診へ向けた基礎資料の収集を図ることに加え、2002年の一斉健診における食事調査をベースライとして考え、横断的な骨密度と食事性因子の関連について検討することを目的とした。我々は、すべての健診に参加し、さらに平成23年度に実施した生活習慣アンケートについてデータベース化が終了し、現在、横断的に生活習慣と骨密度との関係について分析を行っている。この結果から生活習慣と骨密度との関連についての基礎資料を作成し、縦断的なデータの検討に向けた方向性を確認することが可能であると考えている。また、詳細な栄養素等摂取量ならびに食物消費構造と骨密度との関連を検討するために、2002年度の一斉健診時のDHQ(食事調査)のデータを用いて、骨密度と食事性因子との関連について検討したところ、骨密度と食事性因子との関連を明らかにし、学会で発表した。 このようにデータの解析はおおむね順調に進展し、学会等での発表も行っているが、論文化までは時間的に至っておらず、次年度に向けて横断的研究の学術雑誌への報告を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1)平成23年度の横断的な骨密度と食事性因子との関連の学会発表データについて論文化を図る。2)2002年のベースラインから10年後の2012年に大規模な食事調査を実施し、骨密度の増減(改善・維持群と低下群)に対する栄養摂取状況ならびに食物消費構造との関連について縦断的な検討を行う。3)2012年の健診未受診者のフォーローアップを行うと共に、1)で検討された食事性因子の差異別に対象を区分し、10年後の追跡調査を行い、2012年時点での骨密度の増減率について検討する。4)超音波骨密度測定法について、久山町での標準値および骨粗鬆症境界値確立のための基礎資料を作成する。以上のような推進方策に基づいて、精度の高い調査に務めるとともに、日本における具体的な栄養教育(指導)対策のための基礎資料を構築するべく取り組みたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、40歳以上の全住民が対象の一斉健診(40~79歳、約3,500人)であり、住民健診に参加してデータの収集を行う。健診は、6月から10月末までの延べ45日間で平成23年度と同様にすべての日程に参加する。本年度は、骨密度測定に加えて食物摂取頻度調査法による食事調査を実施し、データの入力・栄養価計算を行い、全対象の栄養素ならびに食品群別摂取状況の実態を把握する。骨密度測定は、音響的骨評価値(OSI)アロカ社製を用いて測定する。調査の精度を高めるために骨密度測定者と、食事調査では管理栄養士を雇用し、聞き取り・データ入力を行う。結果については、計算結果表を各対象者へ返却する。また、本年度は、対象者(住民)への食事調査結果表の返却を速やかに実施するため、学生アルバイトを雇用し対応する。得られたデータは、ベースライン調査でのデータとのマッチングを行い、中村学園大学情報処理センター及び九州大学情報基盤研究開発センターにおいて、データの固定化を図る。 以上のような研究計画に基づいて、次年度の研究費の使用計画は、健診等に関わる旅費や人件費・謝金が多くを占めると考えている。また、論文化にあたっての投稿費や食事調査結果の郵送のための送料を予定している。
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