研究課題/領域番号 |
23590833
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
吉田 英世 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (00242735)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / 動脈硬化 / 高齢者 |
研究概要 |
【目的】加齢に伴い骨から吸収されたカルシウムが動脈に沈着しやすくなり動脈硬化を引き起こすという仮説があり、本研究の目的は、この事象を明らかにするために、骨粗鬆症検診を受診した地域在住高齢者を対象に、その後の死亡や脳卒中・虚血性心疾患の発症についての検討である。【対象と方法】対象者は、秋田県K村在住の65歳以上高齢者で、平成8年に骨粗鬆症検診(初回調査)を受診した756名である。初回調査は、骨量測定(前腕部:DXA法)、身体計測、血液検査、面接聞き取り調査であった。平成23年は、上記の初回調査受診者のうち村内在住者383名に対して、訪問調査を実施した(実施率;94.0%)。解析は、(1)初回受診者を対象に、男女ごと死亡(対;生存)を目的変数とし、説明変数に初回調査の骨量(3区分)を用いたロジスティック回帰分析を行った。(2)平成23年度調査者を対象に、男女ごとに脳卒中・虚血性心疾患の発症(対;非発症)を目的変数として、同様な分析を行った。【結果】(1)骨量(3区分;低値、中値、高値)の死亡に対する年齢調整済オッズ比(有意確率)は、男性は、それぞれ2.44(p<0.01)、1.07(ns)、1.00(ref)であり、女性では、1.45(ns)、0.97(ns)、1.00(ref)であった。(2)骨量(3区分;低値、中値、高値)の脳卒中・虚血性心疾患の発症に対する年齢調整済オッズ比(有意確率)は、男性は、それぞれ2.13(ns)、1.34(ns)、1.00(ref)であり、女性では、0.41(ns)、0.29(p<0.1)、1.00(ref)であった。以上より、高齢男性は、死亡および脳卒中・虚血性心疾患の発症は、骨量低値群でそれらの危険性が高いことが示唆されたが、一方、高齢男性に比べて絶対的に骨量が低い高齢女性では、脳卒中・虚血性心疾患の発症は、相対的に骨量が高い群でのその危険性が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のとおり、1)初回調査受診者の生存確認を行い、2)村内在住者対しては、脳卒中、虚血性心疾患などの発症について、訪問調査を実施した。しかしながら、死亡者の脳卒中、虚血性心疾患の発症に関しては、調査が困難で実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、都市部の地域在住高齢者(東京都板橋区)で、平成14年10月の高齢者総合健康調査(初回調査)を受診した939名を対象に、平成23年度と同様に、初回調査受診者の生存確認および、区内在住者を対象に、脳卒中、虚血性心疾患などの発症に関しての訪問調査を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度(平成24年度)は、当初郵送調査を計画していたが、上述の研究の推進計画のとおり、今年度の未使用額と次年度の請求額を合わせ、その研究費の多くを訪問調査費用に充てる予定である。
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