研究課題/領域番号 |
23590833
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
吉田 英世 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (00242735)
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キーワード | 骨粗鬆症 / 動脈硬化 |
研究概要 |
【目的】本研究では、加齢に伴い骨から吸収されたカルシウムが動脈に沈着しやすくなり動脈硬化を引き起こすという仮説を明らかにするために、骨粗鬆症検診を受診した地域在住高齢者を対象に、その後の脳卒中および心筋梗塞の発症について検討した。 【対象と方法】対象者は、東京都I区在住の70~84歳の高齢者で、平成14年に包括的健康調査(初回調査)を受診し、かつ、平成24年に同様の調査を受けた891名(男性;333名、女性;558名)である。初回調査は、骨量測定(前腕部:DXA法)、身体計測、運動機能測定、血液検査、面接聞き取り調査であった。平成24年の追跡調査は、会場健診では、初回調査と同様の調査内容で、受診者は475名であった。一方、未受診者に対しては、訪問調査による面接聞き取り調査を実施し、416名を完了した。 解析は、男女別に、脳卒中、心筋梗塞の新規発症(対;非発症)をそれぞれ目的変数とし、説明変数に初回調査の骨量(3区分)、年齢を用いたロジスティック回帰分析を行った。なお、初回調査時にて脳卒中、心筋梗塞の既往を有する者をそれぞれ除いて解析した。 【結果】1)骨量(3区分;低値、中値、高値)の新規脳卒中に対する年齢調整済オッズ比(有意確率)は、男性は、それぞれ1.45(ns)、0.52(ns)、1.00(ref)で、女性では、1.34(ns)、1.10(ns)、1.00(ref)であった。2)骨量(3区分;低値、中値、高値)の新規心筋梗塞に対する年齢調整済オッズ比(有意確率)は、男性は、それぞれ0.27(ns)、0.32(ns)、1.00(ref)で、女性では、2.13(ns)、1.35(ns)、1.00(ref)であった。 【まとめ】脳卒中は、統計的に有意ではないものの男女ともに骨量低値群で新規発症の危険性が高く、一方、心筋梗塞では、女性は骨量低値群で新規発症の危険性が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のとおり、都市部在住の高齢者を対象に、初回調査受診者を対象に、追跡調査を会場招待型調査および未受診者に対しては、訪問調査を実施し、脳卒中、心筋梗塞の発症についての発症確認調査を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成23年度に発症確認調査を実施した農村部の地域在住高齢者(秋田県K村)と、平成24年度に同様に調査を行った都市部の地域在住高齢者(東京都I区)の調査結果を総括して、最終的な結論を導く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)この2年間に実施した2地域の調査データの統合作業、2)死亡者を対象とした脳卒中、心筋梗塞の発症確認の実施
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