研究課題
1)神戸トライアル ベースライン調査でCAVIを測定し、空腹での中性脂肪値が400未満であった540人(男性326人、女性214人)に関して検討した。LOX-1のリガンドであるLABは、潜在性動脈硬化症の指標であるCAVIと関連があり、またCAVIと高感度CRPに関しての検討では,hs-CRPでは高い相関がみられた。(J Atherocsler Thromb 2012;19:1027-34)腎障害マーカーであるシスタチンCについて、LABとの関連性を検討した。女性以外ではLABとシスタチンC上昇に有意な関連があった2)丹波篠山コホート Polyunsaturated fatty acid (PUFA)に関し、546人について、cystatin Cによる推定eGFRを用いて相関を検討したところ、両者に強い相関がみられた。3)吹田研究 本年は吹田研究において肥満と循環器発症の指標としてのwaist-hip ratio、日本人におけるフラミンガムリスクスコアの妥当性の検討と新規リスクスコアを開発した。吹田研究参加者男性2600人、女性2880人について、waist-hip ratioとCVD発症との関連を検討した。waist-hip ratio の4分位の最高/最低を比較するとCVDとの相関のHRは男性50-59歳で1.81 (1.13-2.90) であり、同年齢層の女性でも同様であった(J epidemiology in press)参加者にかんして、フラミンガムリスクスコアは、clinical reclassification が71.2%であり、多くの場合発症確率を過大評価することが明らかになり、吹田研究によりリスクスコアはnet reclassification improvement (NRI) が23.8% (Z=3.80) (P<0.001)とより優れた診断能を得た
2: おおむね順調に進展している
上記のほか、他施設との共同研究で空腹時血清apoB48が、冠動脈疾患発症のリスク要因であること(Clin Chim ACta 2013;421:51-6),ステント狭窄例におけるイソブチラミン、サルコシン、ホモセリンなどのメタボライト組成が非狭窄例と異なること(Circ J 2012:76:1864-1873)、また現在製造承認申請過程にある急性腎障害マーカーとしてのミドカインが、他のAKIマーカーに比べ優れた診断能をもつこと(JASN under the review)を見出しており、吹田研究のベースライン、フォローアップ研究での保存検体の整理作業を行い、次年度に測定を開始する予定である。また昨年度に報告したように血中抗核抗体、抗CCP抗体に関しても、測定の準備を完了している
今後は、吹田研究、神戸トライアル、丹波篠山研究において、新規スコアの妥当性検証と上記にあげたバイオマーカー測定を行い、リスク予想を行う。また、冠動脈の石灰化マーカーとしてBMPERの測定も、神戸大学循環器科と共同での測定を検討する
今年度は主として、上記マーカー群の測定を行う昨年度の残金については、抗CCP抗体試薬の先行取得分が、当初見積もりより安価に購入できたことにより生じた。主として、抗核抗体、抗CCP抗体の測定に使用する予定である。また、冠動脈の石灰化マーカーとしてBMPERの測定とミドカイン測定の業者委託に使用予定である
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