研究課題
当研究所での寿命調査(LSS)集団の1958~2005年の追跡調査において、地域がん登録、放影研での剖検記録等の情報にもとづいて、広島・長崎合わせて1700例の乳がんと思われる症例が抽出された。本研究ではこれらについてまず、病理医によるHE標本の鏡検を行い、乳がんの確定診断を得たものを対象として、intrinsic subtype(内因的サブタイプ)について、次の手順で染色および診断を行う。すなわち、第一段階として全症例のER、PR、HER2、およびKi67による染色を行い、Luminal A型、Luminal B型、HER2過剰発現型、三重陰性型に分類し、三重陰性例に対してCK5/6およびHER1による染色を行って、基底類似型と分類不能型とする。この1700例のうち個人線量が推定されている症例は1240例であった。そのうち、34%が5mGy未満、47%が5~500mGy未満、19%が500mGy以上であった。平成24年度末において、HE染色標本による乳がんの確定診断は、対象者数約1700例のうち約1500例について2人の病理医による診断が終了し、現在3人目の病理医を含めて診断不一致例の検討を行っている。内部サブタイプの免疫染色については、約900例について染色が終了し、そのうち約150例について判定が終了した。
2: おおむね順調に進展している
研究対象者についてHE染色標本による乳がんの確定診断が進行中であり、標本レビューを行う3人の病理医のうち2人については、対象者数約1700例のうち約1500例についてレビューが終了した。残りの1人は、前2者の診断不一致例について、3人全員での症例検討に参加して決定するという方法で、研究の進捗を図っている。内部サブタイプの免疫染色については、約900例について染色が終了し、そのうち約150例について判定が終了した。したがって、研究の進捗状況は、おおむね順調であると考えている。
乳がん症例のHE染色標本による確定診断については、ほぼ全数を終了している。免疫染色に使用するパラフィンブロックの入手についても、ごく少数の医療機関の協力は得られていないが、すでに1500例中約900例の染色を終え、今後、残された症例のブロックを収集して免疫染色を行う予定である。免疫染色の判定についても、3人の病理医および担当の技師による援助を受けて、進める予定である。
主に、内因的サブタイプの免疫染色試薬の購入に充てるほか、情報収集のための旅費や解析のための資料・消耗品等に充てる。次年度使用額が生じた状況としては、免疫染色に使用するパラフィンブロックの入手が遅れたために免疫染色試薬の購入が遅れたためである。しかし、必要なブロックはすでに入手してあるので、次年度にこれらの免疫染色を行うための試薬を購入することができるので、その予定を立てており、そのために研究自体はおおむね順調に進行していると考えている。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (3件)
Radiat Res
巻: 178 ページ: 191-201
10.1667/RR2819.1
Int J Cancer
巻: 132 ページ: 1222-6
10.1002/ijc.27749
巻: 177 ページ: 86-98
10.1667/RR2841.1
日本臨牀
巻: 70 ページ: 399-404
BMJ
巻: 345 ページ: 1-12
10.1136/bmj.e7093
http://www.rerf.jp/programs/rp/canheads.html
http://www.rerf.jp/programs/rparchiv/rp05-08.htm
http://www.rerf.jp/programs/rparchiv/rp06-10.htm