研究課題
当研究所での寿命調査(LSS)集団の1958~2005年の追跡調査において、地域がん登録、放影研での剖検記録等の情報にもとづいて、広島・長崎合わせて1700例の乳がんと思われる症例が抽出された。3人の病理医パネルによる鏡検と討論によって、これらのうち1609例が乳がんと組織学的に診断され、そのうちductal carcinomaが1567例、lobular carcinomaが32例、その他の組織型が10例であった。現在のところ、これらの組織型と症例の被曝線量との間には特定の関連は見いだされず、従前の観察結果と同様の結果であった。これらの乳がん症例についてintrinsic subtype(内因性サブタイプ)の分類のために次の手順で染色および診断を行った。すなわち、第一段階として全症例のER、PR、HER2、およびKi67による染色を行い、Luminal A型、Luminal B型、HER2過剰発現型、三重陰性型に分類し、三重陰性例に対してCK5/6およびHER1による染色を行って、基底類似型と分類不能型とする。現時点で、上記症例中約1300例の免疫染色が終了し、そのうち三重陰性例は約10%程度であった。上記のうち判定終了したものは、約800例である。
3: やや遅れている
HE染色標本による乳がんの確定診断は終了したが、内因性サブタイプの免疫染色については、免疫染色の実施および結果の判定が事前に予想したよりも煩雑であったために、やや遅れている。なお、全体の2割弱の症例については、症例を保有している医療機関の協力が得られないために、通常の組織診断は広島・長崎の腫瘍組織登録に提出されている標本で確定できたが、免疫染色のためのパラフィンブロックの借用ができないことが判明している。
免疫染色およびその判定を、本年度上半期中に終了することができると見込んでいる。その後、症例における内因性サブタイプの分布と線量との関連の解析、および、追跡コホート全体のデータと結合して、各サブタイプに関する放射線リスクの解析を行い、それらのテーマに関して論文を作成する予定である。
平成25年度に、内因性サブタイプの分類に関する免疫染色作業を終えてデータの入力を完了して解析を行う予定であったが、症例のパラフィンブロックの研究協力機関からの借用および染色作業が遅れたため、データの整理や入力、解析等を次年度に行うことになった。データの整理や入力、解析等の作業の経費に充てる。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (3件)
Radiat Res
巻: 181 ページ: 531-539
10.1667/RR13494.1
巻: 179 ページ: 361-82
10.1667/RR2892.1
Am J Epidemiol
巻: 177 ページ: 569-73
10.1093/aje/kws474
巻: 180 ページ: 539-45
10.1667/RR13421.1
http://www.rerf.jp/programs/rp/canheads.html
http://www.rerf.jp/programs/rparchiv/rp05-08.htm
http://www.rerf.jp/programs/rparchiv/rp06-10.htm