研究課題/領域番号 |
23590840
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研究機関 | (財)放射線影響研究所 |
研究代表者 |
大石 和佳 (財)放射線影響研究所, 広島臨床研究部, 副部長 (20393423)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 脂肪性肝疾患 / 生活習慣 / 肝線維化 / インスリン抵抗性 / 酸化ストレス |
研究概要 |
本研究の目的は、放射線影響研究所(放影研)が1958年から2年に1回の健診で長期追跡を行っている原爆被爆者の成人健康調査(AHS)コホートに依拠した前向きコホート研究を行い、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の進展に寄与する因子を明らかにすることである。 NAFLDにおける肝線維化程度とインスリン抵抗性および酸化ストレスとの関連について、飲酒量、喫煙習慣、肥満度指数(BMI)などの生活習慣関連因子、放射線量を考慮に入れて検討し、NAFLDの進展促進因子を同定することにより、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)が原因の1つとされる非B非C型肝細胞がんの発症予防および高リスク群のサーベイランスに有用な指標を明らかにする。 本研究の対象者は、平成20年11月から平成24年12月までに広島放影研のAHSに参加され、各種臨床検査と質問票調査に同意が見込まれる原爆被爆者である。平成24年3月までに約2700名の腹部超音波検査、肝弾性度測定検査、生活習慣関連因子に関する質問票調査、血液・生化学検査(線維化マーカーを含む)、肝炎ウイルス検査、インスリン抵抗性および酸化ストレスに関するバイオマーカーの測定がほぼ終了した。また、対象者の肝硬度測定値を確定するために、平成23年度の研究経費で購入した肝硬度解析ソフトを用いてデータベースに保存されている肝弾性度測定検査の画像ファイルのレビューを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定していた肝弾性度測定検査の画像ファイルのレビューについて、肝硬度解析ソフトの発売が予定より遅く、購入が平成24年1月であったため、肝硬度測定値の確定作業がやや遅れ気味である。 その他の調査内容については、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、AHS受診者に腹部超音波検査、肝弾性度測定検査、血液・生化学検査(線維化マーカーを含む)、肝炎ウイルス検査、インスリン抵抗性および酸化ストレスに関するバイオマーカーの測定および質問票調査を継続し、すべての対象者の調査をほぼ終了する。 平成20年11月から平成22年12月までに受診された若年被爆者(被曝時年齢が10歳未満)の肝弾性度測定検査の画像ファイルのレビューを平成24年度中に終了し、飲酒量、喫煙習慣、BMI、放射線量などの疫学情報との連結を行い、データセットを構築する。また、データの品質管理、統計的検出力を概観するために記述統計を行う。 インスリン抵抗性に関するマーカー(PAI-1、レジスチン、レプチン、MCP-1)の試薬は従来ポリスチレンビーズを用いたものであったが、平成24年4月より磁気ビーズを用いた新試薬に変更になるため、新試薬における各種マーカーの再現性を評価し、新旧試薬の測定値の相関を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
インスリン抵抗性に関するマーカー(PAI-1、レジスチン、レプチン、MCP-1)の試薬は従来ポリスチレンビーズを用いたものであったが、平成24年3月で製造中止になることが急遽決まり国内外で品薄になったため、平成24年2月の納品予定が4月になった。 近く販売予定となっている磁気ビーズを用いた新試薬で、各種マーカーの再現性を評価し、新旧試薬の測定値の相関を調べるために使用する。 また、引き続き、調査対象者のインスリン抵抗性および酸化ストレスに関するバイオマーカーを測定する試薬のために使用する。
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