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2011 年度 実施状況報告書

寒冷ストレスに関する病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23590841
研究機関旭川医科大学

研究代表者

清水 惠子  旭川医科大学, 医学部, 教授 (90312462)

研究分担者 松原 和夫  旭川医科大学, 医学部, 教授 (20127533)
間瀬田 千香暁  旭川医科大学, 医学部, 准教授 (50550555)
浅利 優  旭川医科大学, 医学部, 助教 (40360979)
大村 友博  旭川医科大学, 医学部, 助教 (00439035)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード凍死 / CIRP / 法医診断
研究概要

凍死の診断は、解剖において特異的な所見が無い為、除外診断を行い、後述の比較的特徴的な所見及び警察の環境捜査情報によるところが大きい。本研究では、寒冷ストレス暴露による細胞死へ至病態生理を解明し、最終的には、特異的に凍死と診断できる、新しい法医学的診断マーカーの開発を目的としている。凍死の診断には、比較的特徴的な肉眼所見として、左右心臓血の色調差(O2-Hb量の差)、胃粘膜のWischnewski 斑、矛盾脱衣等が参考にされている。組織学的所見としては、心筋線維間隙の消失や壊死を呈するコンパクト再配列現象が報告されている。生物が低温ショックに応答し、ある種のたんぱく質合成量が一時的に増大することが知られている。しかし、哺乳類で発現が誘発される低温ショック蛋白質(CIRP)に関する研究は、培養細胞を用いた研究が中心であり、ヒトが低温環境下に暴露されて場合において、その発現を検討した報告は認められない。寒冷ストレスによる細胞死の機序を明らかにする過程で、凍死に特異的な法医診断学における進歩を目的として、今回我々は、哺乳類が低温暴露された際に発現誘導される 低温ショック蛋白質cold inducible RNA binding protein (CIRP) が、凍死診断のマーカーに成り得るか否かの検討を、免疫組織化学的方法により行った。【方法】倫理委員会承認後、凍死と診断された司法解剖事例の肝臓、肺、腎臓、心臓、大脳組織、コントロール群として凍死以外の事例の各組織を、ホルマリン固定後通常の手順により組織標本作製を行った。HE染色の他、抗ヒトCIRP抗体、細胞増殖期に発現するproliferating cell nuclear antigen (PCNA)抗体、熱ショック蛋白hsp70、ユビキチンに対する免疫染色を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在のところ、コントロール群では、上記4つの抗体による免疫染色は全て陰性を呈した。凍死事例組織では、4種の抗体による染色結果は、同一事例内でほぼ一致した。抗ヒトCIRP抗体染色では、凍死事例8例中、肝臓組織で7事例、脳組織で6事例に陽性細胞を認めたが、他の臓器での陽性率は極めて低かった。凍死事例において、CIRPが生前低温暴露されていた組織に対するマーカーとなる可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

今後、死戦期から死後数時間低温環境下に存在した凍死以外の事例において、個体死後細胞死が完了するまでの間に生じる反応(超生反応)における各種蛋白質の発現や、CIRP発現とPCNA 及び hsp 関連蛋白発現の関連性を詳細に検討する予定である。さらに、凍死事例各臓器でのアポトーシス関連蛋白の発現について検討し、寒冷ストレスによる細胞死の機序の解明を検討する。

次年度の研究費の使用計画

物品費は、主に免疫組織化学で用いる各種抗体、試薬、データ保存電子媒体等の消耗品に使用する予定である。抗体については、上記4種類に加え、さらに凍死におけるアポトーシス関連蛋白の発現を含めた細胞死の経路を検討する目的で種類を追加する予定である。

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公開日: 2013-07-10  

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