研究概要 |
一塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)は、被災者の身元確認や犯罪捜査での退化したDNAの解析には、サンプルの増幅サイズが小さいことから有効であり、またマイクロサテライトと比較し変異率(突然変異率:約1 x10-8)が低いので、親子鑑定や親族鑑定で威力を発揮すると言われている。しかし、現在用いられている多くのSNPsは2対立遺伝性を示すものがほとんどである。多くのSNPは2対立遺伝子であることから、STRに比べ遺伝情報が少ないため、混合試料の個人識別等に不向きであった。そこで、3対立遺伝性および4対立遺伝性を示すSNPsをNCBI SNPデータベース(dbSNP)や、文献から選出し、日本人でのアリル頻度を調べた。方法は、インフォームドコンセントを得られたDNAサンプル96検体について、直接塩基配列を決定して3対立遺伝性SNPsの確認を行った。データベースで有効と思われた17種類の3対立遺伝性SNPs(rs3091244, rs3125289, rs3796048, rs35528968, rs7649855, rs356167, rs2032582, rs7824739, rs472455, rs1042229, rs933119, rs433342, rs17287498, rs5030240, rs2307223, rs2069945, rs9329104) について調べた結果、3対立遺伝性SNPsは9種類(rs3091244、rs356167, rs2032582, rs433342, rs1042229, rs17287498, rs5030240, rs2307223, rs2069945,)を確認した。 3対立遺伝性を示したSNPのマイナーアリル頻度は何れも3%以上の値を示し、個人識別に有効なマーカーであると考えられた。
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